福島 フクシマ FUKUSHIMA

津波被害と原発震災に立ち向かう人々とともに

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ここは「死の町」か   警戒区域内から搬出作業

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 先日、警戒区域に指定されている大熊町に行ってきた。
 大熊町にある工場から、工作機械を搬出する作業を手伝うためだ。
 大熊町で工場を経営したAさんは、いわき市内で避難生活を送る。大熊町での仕事再開の目処がたたないため、いわき市内で土地を取得、そこで再出発を目指している。
 

  警戒区域

 福島第一原発は、大熊町と双葉町にまたがって立地している。
 大熊町は、依然として高濃度の放射能に汚染されている地域だ。
 文科省の測定(11月8日)では、大熊町の空間線量率は、原発から西南西に3キロの夫沢で64・8マイクロシーベルト/時、原発の西南西3・4キロの小入野で9・3マイクロシーベルト/時、原発の西11キロの野上で3・1マイクロシーベルト/時。



検問所を経て広野町から楢葉町へ


 7時半過ぎにいわき市内で集合。
 作業の参加者は、私も含めて8人。
 簡単な打ち合わせの後、いわき地方振興局のタグのついた線量計が全員に配られた。

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 線量計をつけてトラックに乗ると、まだ、いわき市内にいるのに、3マイクロシーベルト/時を表示。
 「これ、おかしくない?」と、トラックを運転するBさんにきいた。
 Bさんは、「そうか・・・、実は、この車は警戒区域から取り出した車なんだよね。お陰で安かったんだけど・・・」。
 

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 車は、常磐道で広野インターまで行き、そこから国道6号線に入る。
 すぐに、広野町と楢葉町の境界にある検問所が見えてきた。そこから先が警戒区域。
 入るには、許可がいる。
 
 車のフロントガラスのところに、許可証が置いてある。
 許可証には、次のように記載されている。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 公益一時立入車両通行許可証

    有効期間:  平成23年○○月○○日

 許可を受けた者: (株)○○○○ ○○○○
 
  許可車両番号:  いわき ○○○ ○ ○○○○

 公益一時立入用務に従事するため警戒区域内の通行を許可する。
 なお、本許可書を所持しない場合は通行できない。

              許可権者大熊町長 渡辺 利綱
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 検問所では、警察官がこの許可証を簡単に確認、すぐに中へ進んだ。



倒壊した建物がそこここに


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 国道6号線をすすむと、いきなりタイベックを着た作業員が現れた。
 陥没した道路の修復だった。

 国道6号線を進むと、楢葉町から富岡町にかけて、地震で倒壊した建物が、次々と目に飛び込んできた。

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  いわき市内では、津波で大きな被害が出たが、ここでは、地震による被害も大きかったことがわかる。
 今も手つかずの状態だ。

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 国道6号線をさらに進んで、大熊町に入った。



6~9マイクロ


 車が目的地に着いた。

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 住宅街の一画。
 特別な風景ではないようにも見える。
 ただ、静かだ。人の気配がない。
 本来、人通りがあり、子どもの声があり、洗濯物があるはずの風景。
 人間が生活している臭いが全く感じられない。
 それが不自然だった。

 
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 リフトを使って、研磨の機械を運び出す。
 この工場では、顕微鏡を使って、ミクロン単位の精密な研磨を行っていた。
 職人技だ。
 従業員は10人、Aさん1代で、ここまで育ててきた。
 しかし、原発事故で放射能が降り注いだ。Aさんは、3月12日の午前中に、着のみ着のままで大熊町を出たという。

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 線量計は、6~9マイクロシーベルト/時の間を表示していた。
 とりあえずマスクをして、作業にかかった。
 
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 加工された製品が、むなしく放棄されていた。
 3月のカレーダーと予定表が、その日のままに。
 時が止まっている。

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町役場と巡回する警察


 帰路、トラックを運転するBさんが、少し遠回りをして案内してくれた。

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 大熊町の町役場。
 現在、役場機能は会津若松市に移している。
 車が見える。
 この車はおそらく、3月の避難の際、バスなどで脱出した人の車だろう。それ以来、ここに置かれているのだと思われる。

 写真を撮っていると、警察車両が近づいてきた。
 「役場の方ですか。何をしているのですか」。
 許可証を提示すると、それを確認し、すぐに立ち去っていった。 

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修羅場の跡が残る双葉病院


 大きな建物の前に、何かが無造作に放置されている様子が見える。
 近づくとベッドや車椅子だ。

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 双葉病院の入口。
 3月15日、動けない患者をベッドごと外に運び出し、慌ただしく車に乗せた修羅場の跡が、いまもそのまま残っている。

 3月12日から31日の間、避難のためのバス移動の過酷さと避難先の悪条件によって、この病院の入院患者40人、系列の介護老人保健施設・ドーヴィル双葉の入所者10人が、移動中・移動先で亡くなるという痛ましい事件が起こった。
 当初、福島県・災害対策本部やマスコミは、「医者が患者を置き去り」という筋違いの発表・報道を行った。
 いま、「それは事実とは違う」と、現場で必死に対応していた医師が証言、ノンフィクション作家が地道な取材を行い、真相を究明する作業が進められている。
もちろん、たくさんの人が犠牲になったという事実に変わりはない。



第一原発から5キロ


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 ここは第一原発から5キロの地点。
 写真の左から中央に走っている送電線の方向に、第一原発がある。
 もっともここからは見えない。
 第一原発は、海岸の断崖を削ってつくったため、陸側からは見えにくいのだ。
  
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 国道6号線で、第一原発に向かう送迎バスとすれ違った。
 作業関係の車両は、頻繁に行き交っている。



津波の爪痕が残る富岡駅


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 常磐線は、富岡駅の辺りで、ぐっと海の方に近づく。
 富岡駅の向こうにも、たくさんの民家があったはずだ。
 しかし、今は、駅の向こうに海だけが見える。


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再稼働しようとしている第二原発


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 富岡駅を過ぎてさらに南に進むと、高い煙突が。
 これが第二原発だ。

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 国道6号線に面した第二原発の正門。

 第一原発の事故収束作業の話に隠れて、第二原発のことはあまり話題にならない。
 第二原発も、冷却水を取水する施設が津波で被害を受けた。
 その修復作業にも、多くの作業員が携わっている。
 そして、第二原発が再稼働しようとしているという話も聞こえてくる。
 県議会は、先月、「脱原発宣言」を採択した。しかしこれは県議選を前にしたパフォーマンスの要素が強い。
 また、佐藤雄平知事は、この宣言にたいする態度表明を避けている。
 
 再稼働の動きは本当なのか。
 後日、第二原発で働く、知り合いの東電社員に直裁に尋ねてみた。
 「そうね。修復作業は終わっている。技術的にはいつでも再稼働できる状態だな。
 ただ、それを公に言うかどうかは別だけど。
 それに廃炉にするにしても、修復は必要だし」。
 
 

占領されているようだ


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 車窓を流れる風景を見ながら話をした。

 Bさんは、「まるで占領されているようだ」と言う。
 「線量が高くて占領されている。線量と占領は字が違うけど」。
 ある日突然、住み慣れた土地と家を、捨てなければならなくなった。
 いつ帰れるのかの目処も見えない。
 自由に行き来することもままならない。
 それは、誰かに占領されているように感じられるのだ。

 「死の町」発言で辞任した大臣のことも話に出た。
 「地元の人はね、この現実を見て、『死の町』だと思っているよ。
 だって、人がいるはずのところに人がいないのだから。おかしいでしょ」。
 もちろん、この大臣の発言には、家も畑も仕事も奪われた人びとの苦しみに寄り添う姿勢が、微塵も感じられなかった。
 しかし、また、この発言をとらえて「辞任しろ」と騒ぎ立てた政党やマスコミなどにたいしても、同じように、苦しむ人びとに寄り添う姿勢を感じることができない。
 Bさんは、そう言いたかったのだろう。
 
 さらにBさんは、「今、生きている人だけでなく、ご先祖さんにも補償をしてほしいよ」と言う。
 先祖代々受け継いできた土地が、人間の住めない土地にされてしまった。
 墓参りもままならない。
 ご先祖で、原発に反対の気持ちを持っていた人も少なくない。
 そのご先祖たちは、「きっとどこかで、『だから、言っただろう』って嘆いているに違いない」。
 Bさんは、こういうご先祖たちにたいして、「済まない」という気持ちを言っているのだ。

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 そういう話をしているうちに、再びJヴィレッジ近くの検問所を経て、警戒区域の外に戻った。


 ・            ・            ・            ・            
     
 ところで、警戒区域を出る際に、車や荷物や人のスクリーニングや除染は行われなかった。
 驚いた。
 現在は、かなりの数の住民が自家用車などで、警戒区域からの荷物の取り出しなどを行っているが、今回のようなやり方が例外ということではないようだ。
 
 
 

 
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テーマ:東北関東大震災 - ジャンル:ブログ

  1. 2011/11/12(土) 13:55:49|
  2. 警戒区域
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:8
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コメント

呼吸が出来ないくらい辛い

奥村さん、ご無沙汰しております。何時も奥様にはお世話になりっぱなしですみません。<m(__)m>
このブログの事を奥様から聞き、度々拝見してはいたのですが、余りに現実がすご過ぎて
何とコメントしたら良いのか迷っていました。

私には何も出来ませんが、この現実から目を背けず、しっかり見て受け止め、福島の現実を知り、少しでも伝えていかなければいけない。と思っています。

奥村さん、地道な活動だと思いますが諦めず伝え続けて下さい。応援しています。
私も福島ではありませんが、宮城へ今週末に行く用事がありますので、少しでも現実を知ってこようと思います。
  1. 2011/11/15(火) 09:13:08 |
  2. URL |
  3. 里美です。 #-
  4. [ 編集 ]

ハグバイさん、こんばんは。
現地リポート、ありがとうございます。

私は、先にもコメントしておりますが警戒区域(楢葉町)からの避難民、当事者です。
あなたは、いわき市在住の方。

さて、原発周辺の惨状を目の当たりにし、あなたご自身はどのように現状を受け止め、今後、その周辺住民にどうずべきか、あなたご自身はどうお考えでしょうか?

私は、この事故が起こった瞬間からある結論を持って避難生活をしております。

  1. 2011/11/15(火) 18:41:25 |
  2. URL |
  3. しじみ #-
  4. [ 編集 ]

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  1. 2011/11/15(火) 18:44:22 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集 ]

息が詰まりました

1週間ほど読めなかったのですが、大熊町のレポート息が詰まる思いで読みました。
すぐに思ったのは、レポー^ターをはじめ作業に入った人たちの被曝の心配です。
警戒区域をでるとき、何の除線もなかったと。
つまり、何の防御もなくて事態は進んでいるのですね。

今度自衛隊を出すといってますよね。自衛隊の若い人たちが、チェルノブイリの時のソ連の兵士のように被曝して苦しむことになるのではと考えると、首相や防衛大臣や東電の幹部にあんたが行ったらどうなんやといいたくなります。

  1. 2011/11/25(金) 21:34:35 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集 ]

偏りすぎ

警戒区域内の模様拝見致しました。
浪江町住民が、津波非難中に爆発が起こり、自衛隊が宮城に住民を残して非難したのも事実。
富岡町役場周辺は、現在10マイクロあるのも知ってますよね?
スクリーニングを実施していないと書いてありますが、南相馬の馬事公苑では、実施しています。
また、浪江町は、ネット掲載する前に申請が必要なのは知ってますよね?
事実と違う掲載は、警戒区域内に入っている者からすれば納得いきません。
修正か削除を希望します。
  1. 2011/12/13(火) 21:34:14 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集 ]

■いわき市や南相馬市の方々は、
原発問題の現状については、ぜひ下記の資料をご覧下さい。

無責任な日本政府は、住民に対して、「強制避難」の次は、「強制帰還」を押し付けています。


1.
http://prepper.blog.fc2.com/

2.
http://www.youtube.com/watch?v=yYZu62_v4jo

3.
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/32126

  1. 2011/12/17(土) 17:13:37 |
  2. URL |
  3. 鈴木 #qbIq4rIg
  4. [ 編集 ]

ネット掲載に申請?

「偏りすぎ」さんは変!

ネットの情報がすべて正しいとは思わないが、
ネット掲載に申請が必要?なんで?
おかしなこというもんだなぁ。

修正か削除なんて必要ないじゃん!
  1. 2011/12/23(金) 01:28:56 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集 ]

貴重な現場の情報

貴重な現場の情報を、ありがとうございました。

遠方に住んでいる者としては、きちんとした情報が手に入らず、とても苦心してました。


警戒区域の除線の前に、立ち入った車の除線を、ですよね。

確実に、他地域にも汚染が広まってますよね。


警戒区域だとか分けてる意味が‥。。


このレベルの除線も実施できないのなら、地域の除線なんてホント上っ面だけでお金だけが都合よく流れていくだけなんじゃないかと思ってしまいます。


少しでも正しい方向に進みますように。

力になりたいです。
  1. 2012/09/29(土) 09:46:08 |
  2. URL |
  3. ハナ #-
  4. [ 編集 ]

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