福島 フクシマ FUKUSHIMA

津波被害と原発震災に立ち向かう人々とともに

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

福島市・渡利地区の避難指定を見送り   住民が強く反発

CIMG2893_convert_20111014085135.jpg



 10月8日の午後7時から、福島市の渡利小学校体育館で、「特定避難勧奨地点」(※)の指定をめぐって、渡利と小倉寺の両地区の住民にたいする説明会が行われた。説明する側は、政府・原子力災害現地対策本部と福島市当局。
 この説明会の開催を、福島市は、一部の住民にしか通知しなかった。こっそりとやって、住民の批判をかわそうとした。が、口伝てに広がり、午後6時半を過ぎた頃から人の流れができ、始まる頃には400人以上が集まった。
 政府と福島市の説明と答弁は、「避難はさせない」「とにかく除染」という結論ありきで、それを住民に押しつけることに終始した。
 これに住民は強く反発、地域の町会長なども含め30人以上が次々と発言、訴えや批判を述べた。政府・福島市の説明に賛意を示す発言は皆無だった。
 説明会は、大荒れに荒れて、夜中の12時まで5時間かかっても、収集がつかないまま時間切れとなった。

〔※原子力安全・保安院の定義によれば、特定避難勧奨地点とは、事故発生後1年間に受ける放射線量が20ミリシーベルトを超える予測される場所が、一定の広がりを持たずに地点として存在するところ。該当する住民にたいして注意喚起、避難の支援や、促進を行う。特に妊婦や子どものいる家庭の避難を促す。南相馬市、伊達市などで指定されている。〕

CIMG2848_convert_20111014085943.jpg



避難させない


 政府・原子力災害現地対策本部から佐藤部長など3人、福島市からは10数人が前に並んだ。
 政府と福島市が行った説明の要旨は、以下のようだった。
「渡利・小倉寺地区の詳細測定の結果、年間の被ばく線量が20ミリシーベルトを超えると予想される地点が2地点ある。しかし、地域の端の方なので問題はない。よって特定避難勧奨地点の指定は行わない。今後は、不安を解消するために除染を実施する。長期的な目標として、2年後までに年間被ばく線量の50%を削減する」。
 年間で20ミリシーベルトを超えるのに、「避難はさせない」「とにかく除染」というのが結論だ。


CIMG2866_convert_20111014090114.jpg



ただちに全域で詳細調査を


 「政府の測定した数値は、全然、低い。測定していないところに高いがいくらでもある。測定をやり直してほしい。1軒1軒、測定してほしい」と住民は訴える。
 国の調査では、両地区6700世帯のうち、山沿いの一部地域に限定。しかも一世帯について2地点のみ。合計1038地点を測定。その結果、2地点だけが年間20ミリシーベルトを超えると予想される数値だったとしている。
 しかし、これは住民が自ら線量計を持って測った数値とはかけ離れている。「詳細調査をやってほしい」というのが大多数の住民の要求だ。
 ところが政府と福島市の答えは、「これから地域全体の除染を行う。そのときに測定する」とくり返すのみ。


CIMG2890_convert_20111014090518.jpg



なぜ南相馬と基準が違う


 「南相馬市では、政府は、《地上50センチメートル、2マイクロシーベルト/時》を基準に、18歳以下の子どもと妊婦がいる家庭について、特定避難勧奨地点に指定している。なぜそれが福島市ではだめなのか。おかしい」。
 南相馬市から参加した市議がこのように発言した。南相馬市の例が出されて、渡利・小倉寺地区にたいする政府と福島市の対応のおかしさが浮き彫りになった。政府は、南相馬市と福島市で、避難の基準を変えているのだ。
 「基準が違うではないか」という指摘にたいして、佐藤室長は、その理由を「ロケーションなどを鑑み」ということでごまかそうとしたが、無理がある。
 政府は、避難をさせないために、基準の方を上げてしまうというやり方をしているのだ。


CIMG2859_convert_20111014090349.jpg



100ミリ以下なら影響ない!? 20ミリ以下なら安全!?


 佐藤室長は、さらに踏み込んだ発言を行った。
 住民が、「地域を自分たちで測ったら、線量計が振り切って9・99マイクロシーベルト/時になった。これでも住んでいていいのか」と不安を述べた。
 すると、これに佐藤室長が答えて、「年間100ミリシーベルト以下は健康への影響はない。ICRP(国際放射線防護委員会)の緊急時の基準は20~100ミリシーベルト/年。年間20ミリシーベルト以下なら安全」。
 これまで、公衆の被ばく線量限度は年間1ミリシーベルトと、法令(原子力基本法と関連法令)で定められきた。ところが文科省の下にある放射線審議会は、10月6日、この1ミリシーベルト基準を維持することができなくなったとして、基準を変えるという見解案を出している。
 それは、端的に言えば、《県庁所在地である福島市で、年間1ミリシーベルト基準を適用していたら、避難とそれに伴う補償が大規模になる。国にとって政治的にも経済的にも大打撃だ。だから、基準を変えて、国民に我慢をしてもらう》という見解だ。住民の健康被害より、国益の方が大事だというのだ。
 佐藤室長の発言は、この見解に沿ったものなのだ。
 これは、福島県の父母らの要求を受け入れて、一旦は、《学校について、年間1ミリシーベルトを目指す》とした文科省の5月27日の見解をも反故にするものだ。


CIMG2908_convert_20111014090835.jpg


 
避難させないための除染


「除染しても、線量は大して下がらない。特定避難勧奨地点に指定してほしい」。
「除染か避難かという話ではない。除染に反対しているのでもない。両方でしょう。なんで避難を認めないのか」。
 避難と除染について、住民の求めているものはこういうことだ。
 ところが、佐藤室長は、「年間100ミリシーベルトまで健康に影響はない」「年間20ミリシーベルト以下なら安全」「安全だけど、住民が不安だと言うから、安心のために除染をやる」という答弁をくり返した。そして、「年間20ミリシーベルトを超えた地点は、除染してもう一度、測る」。
 福島市も同じだ。冒頭から、「市としては、除染で行くと決めた。福島市では避難はやりません」と宣言。除染を強く押し出すことで、避難の要求を抑え込む、あるいは、避難の要求を抑え込んで、この日の説明会を事実上の除染の説明会にしてしまう―こういう意図なのだ。


◇除染の効果なし

 しかし、除染の効果について問われると、その答えは全くおぼつかない。
 「2年後までに年間被ばく線量の50%減を目指す」と佐藤室長は言う。しかしその中身は「自然減が40%なので、プラス10%を頑張る」と言うもの。セシウム137の半減期は30年、セシウム134の半減期は2年。福島の汚染は、両者が比率で1:1と言われている。
 つまり、まず一般的な前提的な話として、自然の減衰と地下水などへの流出に期待すると言っているに等しい。除染の効果の薄さを政府も認めざるをえない。
 しかし、実は、渡利地区については、時間が経ったから自然に減少するとはならず、むしろ逆に高くなるという専門家の指摘もある。渡利地区は、山林に囲まれ、山から雨のたびに汚染土壌が流れ込むからだ。
 「2年で50%に」といいながら、2年間、効果が上がらず、住民は放射能の中に放置され、被ばくはどんどん進むということが起ころうとしているのだ。
 


◇仮置き場もなし

 さらに、除染がただちに始まるのかといえば、そうでもない。
 現在、福島市は大波地区の除染を行っているが、大波地区でも数カ月かかり、その後に漸く渡利・小倉寺地区にとりかかる。渡利・小倉寺地区は、大波地区の200倍の規模で、年単位を要することは明らか。
 しかも市も認めるように、除染で出た土壌など物の仮置き場も決まっていない。それが決まらなければ、いつになっても除染は始まらない。


CIMG2892_convert_20111014092121.jpg



市民を守らないのか


 「避難はさせない」「とにかく除染」という政府と福島市の頑なな態度に、批判が相次いだ。
 「渡利の人を避難させる気はさらさらないということか」。
 「おとなしい人ばかりで何も言わないと思って、これじゃ弱い者いじめだ」。
 「7月から説明会の開催を求めてきた。やっと行われたけど、除染のための説明会になっている。おかしい」。
 また、市の姿勢にも批判が及んだ。
 「福島市は、どっちの側を向いているのか。市は、本来、住民の側に立って、国に要求するべき」。
 「『放射能に関して、市には権限がない』というが、市は市民を守らないのか」。
 さらに、説明会のやり方にも批判が。
 「今日の説明会を知らされていない人がたくさんいる。町を分断することになる。こういうやり方に抗議する」。
 「国と市は、住民の意見をうけとめていない。説明会を中断して、市長とか大臣を呼べ」。


IMGP1442_convert_20111014092322.jpg
(住民の有志らが汚染の現状を知らせる資料を配付し、署名活動。写真手前は、住民とともに測定に尽力する「福島老朽原発を考える会」の阪上武さん)

IMGP1443_convert_20111014092510.jpg
(住民の自主的な測定で高い数値が出て、「危険だ」と指摘された阿武隈川沿いの木橋。立て札もないので、知らない人は、ウォーキングで通っている)

CIMG3019_convert_20111014092636.jpg
(住民有志と阪上さんらの測定で、20・74マイクロシーベルト/時を記録した渡利小学校・校庭南西の倉庫)



20ミリ基準との対決


「20ミリシーベルト基準の問題が再び前面に出てきた。構え直さないといけない」。
 渡利地区の住民として、「権利としての避難」を求めて運動をしてきた中手聖一さん(子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク・代表世話人)は、説明会を総括して、このように気を引き締めた。
 今回の説明会は、一部住民にしか通知されていないため、どれだけ集まるか心配された。が、実際にはたくさんの人が集まり、住民の関心の高さが示された。しかも、町会長など、地域のまとめ役の人たちも次々と発言に立ち、批判的な意見を述べていった。
 これは、政府と福島市にとって、大きな誤算だったに違いない。
 しかし、中手さんが厳しく見ているように、政府は、法定の基準を変えるまでして、「避難はさせない」「とにかく除染」という方針で、住民の抵抗を押し潰し、切り捨て、被ばくを強制しようとしいる。
 渡利・小倉寺地区をめぐる事態は、放射能汚染をめぐる攻防の大きな焦点であり、正念場に差しかかってきている。



関連記事
スポンサーサイト

テーマ:東北関東大震災 - ジャンル:ブログ

  1. 2011/10/14(金) 08:40:34|
  2. 渡利地区
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
<<全村避難から約5カ月  飯舘村の現在     | ホーム | 稲ぼっちの隊伍   福島にも収穫の秋  >>

コメント

現地の人々からの生の情報が大変に重要なので、
こうした記事は本当に助かります。

噂には聞いていたのですが、それにしても、ひどい話ですね。

1-「無理に避難させていないのだから、
それで避難したら、補償金は出さないので、その経費は自分で負担しなさい。」
ということが言いたいだけですね。

2-加えて、原発との利権があった自治体には甘く、
そうでないと飯舘村のような扱いとなる。

3-それに、はっきり言ってこれでは、除染だけ無理にさせて、
被曝調査だけして、治療もケアもしないという人体実験です。

こんなことをしていたら・・・・きっと・・・

草々
  1. 2011/10/14(金) 23:03:33 |
  2. URL |
  3. 鈴木崩残 #qbIq4rIg
  4. [ 編集 ]

鈴木崩残さんへ

 たびたびコメントをいただきありがとうございます。
 また、すごく立派な貴サイトにおいて、ご紹介いただきありがとうございます。
 いろいろ情報も紹介していただいていますが、私の方が、この間、出ずっぱりで、なかなか落ち着いてパソコンに向かうこともできず、反応も遅くて申し訳ありません。
 おっしゃるように、現場の叫びが大事だと思います。福島の人がどう叫び、何を求めているのか。このことが県外にまだまだ伝わっていないと感じています。
 それは、国やマスコミの大音量の宣伝にかき消されている面もあります。
 ただ、それだけではなく、福島の人たち自身が、まだ、福島の人間として、本当に大同団結して、具体的な要求を掲げて、大きな声で叫ぶ、ということに成功していないという面もあると思います。
 そういう意味で、私にできることは、福島の各地であがる様々な叫びを、できるだけ見えるものにして伝えることではないか。県外にとってもですが、実は、県内にとっても、それが必要だと感じます。お互いにそれぞれの叫びが見えるようになってくることで、お互いに理解が生まれ、そこから、大きな流れになっていく可能性も出てくる。そうなれば、と思っています。そしてそのために少しでも役に立てばと思っています。
 そういう思いで、人びとの声にもならないような必死の思いや訴えを、誰にでも見えるものにする作業を続けたいと思います。
 これからも、ご注目をいただければ幸いです。
 
 お礼まで。   

  1. 2011/10/15(土) 21:23:15 |
  2. URL |
  3. ハグバイ #-
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://fukushima20110311.blog.fc2.com/tb.php/36-62a5d126
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。