福島 フクシマ FUKUSHIMA

津波被害と原発震災に立ち向かう人々とともに

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

「南相馬市放射線量率マップ」を市民団体が作成・公開

IMGP0610_convert_20110811161931.jpg

(写真上:チェルノブイリ救援・中部が作成した「南相馬市放射線量率マップ」。3万分の1の地図上に500mメッシュの区分けがされ、その区分け毎に汚染度が9段階の色分けで表示)

(写真下:9段階の汚染度の区分)

IMGP0601_convert_20110811161719.jpg







20キロ圏内から30キロ圏にかかる
南相馬市



 福島第一原発の北側に位置し、20キロ圏内から30キロ圏にかかっている南相馬市。
 市南部の小高区全域と原町区の一部が、「警戒区域」に指定。市中部の原町区の大部分と鹿島区の一部が、「緊急時避難準備区域」に。さらに、原町区の西端で飯舘村と隣接する地域が「計画的避難区域」に。
 この上にさらに、7月21日には市内の50地点・59世帯が、8月3日には市内の65地点・72世帯が、「特定避難勧奨地点」に指定。
 もっとも、このような指定は、政府の原子力災害現地対策本部が行ったもの。放射能汚染の現状に踏まえたものとはいえないし、住民が抱いている不安や憤りに応えるものには到底なっていない。

南相馬・区域指定



市民団体と住民が測定

 これにたいして、市民団体と住民らが、自主的に汚染状況の測定を行い、今後の行動を話し合おうというとり組みが行われている。  
 「チェルノブイリ救援・中部」―1990年から、名古屋を中心にして、チェルノブイリ原発事故被災者の救援活動をとり組む―が呼びかけ、地元南相馬市の住民が参加。6月中旬から7月中旬、原町区と鹿島区の全体の放射線量測定がおこなわれた。 
 その測定結果が、「南相馬市放射線量率マップ」としてまとめられ、8月3日、それを公開する集会が、南相馬市原町区内で開催された。
 集会は、南相馬市役所からほど近い、労働福祉会館の一室でおこなわれた。主催者のチェルノブイリ救援・中部のみなさんは10人ほどで、名古屋から車を飛ばしてかけつけた。南相馬市の住民などあわせて約30人の参加者があり、報告と討論が行われた。

CIMG2223_convert_20110811163738.jpg


500mメッシュ

 「放射線量率マップ」については、概ね以下のような報告が行われた。

CIMG2234_convert_20110811165418.jpg
(「放射線量率マップ」を解説するチェルノブイリ救援・中部の池田さん)

◇536カ所 

まず、測定の方法について。
 小高区は全域が警戒区域で立ち入りできないため、原町区・鹿島区の全域で測定を行った。
 地図上にタテ・ヨコ500m間隔で線を引く。500m×500mのメッシュで、500m四方のブロックが478個。
 各ブロック毎に、道路上の1カ所を選んだ。実際には複数カ所のブロックもあり、測定視点は合計536カ所。
 それぞれの地点で、地表から1mと1cmの高さで、ガンマ線の空間線量率を測定。
 2~3人が1組、1日に6組ぐらいで、3次にわたり合計5日間をかけておこなわれた。チェルノブイリ救援・中部からのべ35人、地元住民が31人参加。

◇9段階に色分け 

 その計測値をもとに、次のような式で一年間に浴びる外部被ばく線量を算出した。
 (計測値〔マイクロシーベルト/時〕-0・11)×(8+0・4×16)×365÷1000=年間被ばく線量〔マイクロシーベルト/年〕
 この式の意味は、計測値から自然放射線量(1ミリシーベルト/年で計算。0・11マイクロシーベルト/時はその時間換算の値)を引き、1日のうち8時間を屋外に、16時間を屋内にいると想定し、屋内で浴びる放射線量を屋外の場合の40%以下として計算した。
 その数値を9段階に色分けし、地図上に表示した。(上掲の地図と区分を参照)

◇南南東から北北西の方向に広がる汚染
 
 この「放射線量率マップ」を作成することによって、次のようなことが見えてきた。
 南相馬市の中心部にある市役所から見て、南北方向では、値の違いがない。
 他方、東西方向では、山側(南相馬市の西側)から海側(南相馬市の東側)にかけて放物線状に値が低くなっている。
 このことから、現在の放射能汚染は、3月15~16日にかけての水素爆発によって放出された放射性物質が、北北西の風に乗って広がったと考えられる。

CIMG2249_convert_20110811165716.jpg
(自分の地域の汚染度が高いとわかり、考え込む農業の男性)

◇大半が1~5ミリシーベルト/年 

年間外部被ばく線量〔ミリシーベルト/年〕の分布を見ると以下ようになった。

   1ミリシーベルト/年 未満    5%
 1~5ミリシーベルト/年      72%
   5ミリシーベルト/年 以上   23%

 1~5ミリシーベルト/年が72%と大半を占めている。
 ICRPの年間許容被ばく線量の勧告値が1ミリシーベルト/年、日本の法律で放射線取り扱い管理区域の指定が必要な外部線量が5ミリシーベルト/年、ウクライナで任意移住地域に指定されているレベルが1~5ミリシーベルト/年、5ミリシーベルト/年以上が移住強制地域となっている。

CIMG2251_convert_20110811170024.jpg
(畜産を営む40代の男性が質問)

◇地表が広く全体的に汚染 

 地上1mと1cmの放射線量率を比較すると、地表に近い1cmの方が約4割ほど高い。
 外部被ばくの多くは、地表にある放射性物質(現時点では大半がセシウム137および134)から発せられる放射線によるものと考えられる。
 また、放射線量率が低くなると、1mと1cmとの間の値の差が小さくなる。さらに、突発的に高い地点がない。これらのことから、汚染は、狭い範囲ではなく、全体的な傾向として、広い範囲に及んでいることがわかる。


長い闘い 


CIMG2236_convert_20110811164906.jpg
(質問に答えるチェルノブイリ救援・中部の河田さん)


 多くの住民が、政府の「ただちに影響はない」という発表や原子力災害対策現地本部の発表するデータに不信を抱いている中で、「本当はどのくらいの放射線を浴びているのか?」ということを、住民の側に立って明らかにする作業は、地元の住民がもとめているものだった。
 そして、この汚染の実態の対象化がおこなわれたことによって、「では、放射線の影響を減らすのはどうするか?」という検討もはじまる。
 池田さんは次のに述べている。
「復興を進めようにも、放射能が大きく立ちふさがっている。放射能の恐ろしさは、身体への影響もあるが、さまざまな想いや絆を断ち切り、対立を生み出すところにある。同時に、放射能と相対し、向き合う中で、新たな協力が生まれ、新たな絆や暮らしや地域が築かれている可能性もある。マップをもとに、地元の方々と意見を交換しながら、復興の芽を育てる支援をしていきたい」

 同時に、「では、どうするか?」ということについて、簡単に「こうしたらいい」ということは出されなかった。
 それについて河田さんは次のように述べている。
「今後、どうしていくのか?それは、ここに集まった住民が主体的に決めていくことだ。
 チェルノブイリでは、地元の住民ら本当に主体的に動き出すのに、20年かかった。それくらい息の長い闘い。でもゆっくりと大河は流れる。
 日本も、3月、4月、5月と意識がどんどん変わってきている。はじめは『何とかなるのでは』と思っていた人びとも、国・政府とか誰かがやってくれはしない、自分たちでやるしかないと思い始めている」

 また、神谷さんも次のように述べている。
「今後、長期にわたり、放射能汚染という負荷を背負って生きていかなければならないのは若い世代。その世代を軸に展開していかなければ。
 誰も未知の領域の渦中で生きていく。誰がやっても簡単ではなく、多くの失敗が起こるだろう。既知の知見では役に立たないし、使えても少しだろう。そういう中での活動だ」


次に向かって

CIMG2235_convert_20110811170649.jpg
(原町区太田の復興会議会長さんも参加し発言)

 討議を通して、次のような当面の実践方針が確認された。
・この会合の呼びかけを、今回はチェルノブイリ救援・中部が行ったが、今後は住民の側からも呼びかけを行う。住民の中から、それを引き受ける人が決まった。
・日常的な生活の中で、実際にどれだけ被ばくしているのか、という「生活被ばく線量」の測定を進めるために、住民の有志を募って、腕時計のような放射線測定器を常時装着し測定を行う。このとり組みを進める住民の側の責任者が決まった。
・8月20日(土)午後1時から、同じ会場で、続きの討論を行う。
       ・       ・       ・       ・       ・
 「ゆっくりと、しかし大河は流れる」。たしかに、このとり組みは、そういう流れを感じさせるものだった。
関連記事
スポンサーサイト

テーマ:東北関東大震災 - ジャンル:ブログ

  1. 2011/08/11(木) 16:44:51|
  2. 南相馬市
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<南相馬市 新たに「特定避難勧奨地点」の指定 | ホーム | 仮設住宅の生活が始まる>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://fukushima20110311.blog.fc2.com/tb.php/17-98702f50
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。