福島 フクシマ FUKUSHIMA

津波被害と原発震災に立ち向かう人々とともに

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「一方的にこんなやり方はないよ。あんたたちも人間でしょ」  南相馬 避難地点解除・説明会 昨年12月21日







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(高圧的な口調で特定避難勧奨地点解除を通告する高木・内閣府原子力災害現地対策本部長〔写真左・右から3人目〕/怒りを抑えて住民の意向を伝える藤原・大谷行政区長〔写真右・右から1人目〕――12月21日 説明会に先立って行われた行政区長に対する国側の説明)




「特定避難勧奨地点は、健康影響に配慮して、生活形態によって年間20ミリシーベルトを受けるおそれがある地点に注意喚起を行ったものですが、市の除染等により大幅に線量が低下し、現状では健康影響の懸念は考えにくい状況となっていると考えております。
 こうした事実は、逆に、内外にきちんと、線量が下がっているというところを伝えていかなければいけないと思います。それが、南相馬、ひいては、福島県全体の風評被害からの脱却、復興の本格化のために大変重要であると考えております。
 国としては、こうした状況を総合的に判断して、一週間後の12月28日に特定避難勧奨地点を解除することとさせていただきました」

 昨年末の12月21日、「南相馬市の特定避難勧奨地点に関する住民説明会」が開催され、高木陽介・内閣府原子力災害現地対策本部長(経産副大臣、公明党、比例東京ブロック)が、このように切り出した。住民に向かって説明している高木本部長の態度は、きわめて高圧的であった。
 国は当初、昨年10月中の解除を検討していた。しかし、住民の反対の声が強く、特定避難勧奨地点のある行政区の区長らも団結して動き、10月には東京で反対集会や記者会見、国への申し入れが行われた。また、指定解除に反対する地域の署名が呼びかけられ、地域で1210筆も集まった。こうした力の前に、国は一旦、解除決定の延期を余儀なくされた。
 だから今回は、何が何でも決定を押し付けるという姿勢で乗り込んできたわけだ。それが、高木本部長の態度にも表れているのだろう。
 そもそも、この日は朝から異常だった。この住民説明会の開催が住民に通知された段階では、「解除」に関して何も触れられてはいなかった。ところが、説明会当日の朝、NHKのニュースが「12月28日に解除」と流す。住民にとっては寝耳に水だ。国が丁寧に説明し、住民がそれを受けて、納得を得たところで進めるという手続きを、いっさい放棄したやり方だ。頭ごなしに<国が決めたことだから従え>とやれば黙るだろうと考えたのだろう。
 しかし、説明会の会場は反対一色で、たびたび騒然とした。

 以下に、説明会での住民発言(一部・要旨)を掲載する。


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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 なぜ報道ありきなのか  
         
             南相馬市議



 われわれ全く理解できませんよ。なぜ朝のNHKで報道ありきなんですか。28日に解除するかどうかは、われわれにきちんと説明して、理解を得た上でやる話でしょ。まずは謝って下さいよ、本部長・・・(同調するヤジ、怒号)。撤回して、ゼロから始めて下さい(拍手)。



 住民の理解は得られてない  

       原町区高倉(たかのくら)住民


 特定避難勧奨地点の解除に当たって、住民の理解が得られたというような報道がありますけど、はっきり申しますが、住民の理解は得られていません。われわれに真摯に向き合って、継続して理解を求める努力をしてください。
 (解除に反対しないという声もあるとの国側の説明に)おっしゃったように、個々に事情が違うんですよ。解除に理解を示しているお宅があるということは私も始めて知りました。だけど、これは個々の家、地点で違うんですよ。だから、解除するんであれば、そういう風に納得、理解を得られたところから解除していってくださいよ。



 私たちをバカにしている  

   原町区大谷(おおがい)住民


 
私たち、今日、喜んで出てきたわけではありません。でも何も言わないでいても前に進むことができないと思って参りました。
 前回(10月の説明会)、私たちが、お願いしたことに対して、(国から)一切の返事はありませんでした。
 私たちは、10月から東京や福島へと南相馬の署名を持参して参りましたが、県の方ではなかなか受け取ってはいただけなかったんです。私たちは、今日の説明会をボイコットしてもいいかなあと思っていました。
 今回の説明会の案内状にも納得はしておりません。最高責任者の名前はどこにもありませんでしたよね。私たちをバカにしているんですか。「この場をやり過ごせば、あいつらは何も言わない」と思っているのでしょうかね。本当に情けない思いです。
 飯館村では向こうが透けて見えるような除染が行われているのに、私たちの回りは、木の葉をさらって上に土を被せただけというところも多くありました。これでは、除染をしていただいても、(線量が)下がることはないと思うんです。
 たとえ解除になって子どもたちが戻ってきても、「道路の両端は線量が高いから真ん中を歩きなさい」って言っても、それは無理です。農地の除染だってまだ始まったばかりで、ほとんどまだされていません。農地や山林の除染が終わった時点で、南相馬の住民全員に被ばく手帳を渡してもいいのではないでしょうか。
 私たちは、ただ待っているだけではないんです。一人ひとりができるだけ線量を下げようとしてやっているのに、いきなり、「12月28日で解除です」なんて・・・。



 家の中の方が高いのに  

           原町区馬場住民


 俺の家の周りは、前の家も西側の家も除染していない。東は畑、後ろは田圃。俺のところだけ除染してもだめでしょう。
 線量が下がらないで解除するなんて絶対反対。周りの家の除染もやりなさいって、掛川君(原子力災害対策本部・住民支援班)に何度も言ったでしょ。それもしないで解除するなんて。
 家の中の線量が高いんだよ。0.8マイクロシーベルトあるんだ。外は0.4マイクロシーベルトなのに。家の中の除染をしてないからだよ。このことも何回も言ってるんだ。これで解除するのかい?



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(上の2枚の写真は、昨年7月に現地対策本部が行ったモニタリング調査。馬場の住民が発言している通り、室内の方が室外より空間線量率が高かった)



健康影響に不安と嫌悪  

          原町区大原住民


 市の広報に出ている数値でも、原町区大原の数値の方が、小高区の34カ所のモニタリング地点のいずれよりも高いんです。公会堂付近の11月の数字で0.608マイクロシーベルトあります。
 家には小学生がいるんですが、大原の自宅には震災後、一度も寝泊まりしておりません。このような状態なのに、賠償では小高区とえらい差が開いております。解除の後3カ月と賠償の期限が決められていますが、どう考えてもおかしいんですよね。不公平です。先ほど国の方で公平にと言われていましたが。飯舘村とかと何が違うんでしょうか。
 宅地の中だけ除染していただいていますが、隣接している農地と20メートルほど離れています。東工大の先生方がおっしゃるには、放射線は20メートルから80メートル飛びますと。だから、いくら除染をしていただいても、その農地からくる放射線で高いのかなと。室内で床上1センチを測ると確かに0.1から0.2マイクロシーベルトと低いんですが、50センチ、1メートルのところを測ると高いんですよね。室外と同等の箇所もあって。放射線が飛ぶからだと思うんですが。
 10月の説明会で、線量を下げるための清掃・修繕をして構わないということだったので、東京電力さんの立会いのもと、ここまでは費用が出るというラインでやったんですが、領収書を東京電力さんの窓口に持っていったところ、2分の1、3分の1に減額されるんですよね。説明会の話がすでに食い違っています。
 それから、子どもたちの健康被害について、確かに実質的な影響があるということは、疫学的にも、科学的にも証明されてないようですので、私たちは、そちらを信じるほかないですが、もしも、私たちの子どもや孫、ひ孫の代で、疫学的な証明を行うようなことになってしまうということが起こると考えると、すごい不安を覚えますし、嫌悪感を感じます。
 ですので、事故当初から転地療養(保養)をしているんですけども、今後も続けたいと思います。高速道路の実質無料化というのは、特定避難勧奨地点で子どもを持つ家族としては今後とも続けてもらいたいという要望です。



あんたたち、
 人間としてよく考えて下さい  

                大谷行政区長


 本部長ね、まだ市長と合意したわけじゃないでしょう。住民の説明もそう。結局、一方的な国の進め方だけで決めてしまうと。あなたたち、言っていることとやっていることが全然違う。住民の意見を聞きながら、市の意見を国に話して、こういうもとでやろうとしているのに、一方的に、こんなやり方はないよ。
 再三、言っていることは、地域全体を安全な地域にして、年間1ミリシーベルトはなかなか難しいけれども、ある程度の値までは下げてくれと。せめて空間線量で2.6とか。そうなったら住民もわれわれもある程度リスクを背負いながら、妥協はするでしょうと。そのリスク分は、被ばく手帳を出せというと、被ばく手帳という名はリスクがあるから、それに替わる(健康被害が出たときに医療的な補償を受けられるように)健康手帳を発行して下さいよと。
 国の一方的な考え。それもいいでしょ。中にはどうにもこうにもなんないときは決断するときもあるでしょ。ただし、みなさん、目の前にいる(国側の)人たちは人間でしょ。われわれと同じ人間でしょ。われわれの気持ちを読んでくれよ。
 それから、いつまでも20ミリシーベルトって、緊急時の値を3年9カ月も過ぎても用いていくんですか。国際放射線防護委員会だって、緊急時は高いけれども、年々下げた値でやりなさいよって指導してるでしょ。それも全然無視。
 これでは、住民の方々は、今日このままで強引に本部長の言っていることをやることは決して望んでおりません。あんたたち、人間としてよく考えて下さい。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



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(馬場地区から南東の福島第一原発の方向を望む。この方向から放射性プルームが流れ、この地域を汚染した/写真は2014年7月)



 【解説】

 南相馬市の市街地から西に車で10~20分も走ると、大原、大谷、高倉、押釜(おしがま)、馬場、片倉などの行政区がある。阿武隈山地の東のすそ野で飯舘村や浪江町津島に隣接している。自然豊かな農業地帯だった。
 原発事故で一帯が高濃度に汚染されたにもかかわらず、避難区域とはならず、特定避難勧奨地点という形で、152世帯(住民約700人)が指定を受けていた。指定世帯で約7割、非指定世帯も含め多くの住民が、市内を中心に避難を続けている。

 ◇「復興の本格化」とは?
   原発再稼働と原子力政策の加速


 復興加速化方針(2013年12月)を打ち出した国は、指定の解除と住民の帰還を急いできた。除染の効果が上がらずその限界が露わになる中で、年間被ばく線量1ミリシーベルトという基準を長期目標と言い換えて棚上げし、年間20ミリシーベルトを新たな基準に、住民の帰還を促す方針を前面に出してきた。小高区、浪江町、飯舘村などの帰還を促進していくためにも、南相馬市の特定避難勧奨地点解除は、国の復興加速化方針の成否のかかった問題となっていた。
 冒頭に高木本部長の発言を紹介したが、解除決定の意味がよく語られている。
 「大幅に線量が低下し、健康影響は考えにくい。こうした事実を内外に伝えていくことが、福島県全体の復興の本格化ために重要だ。こうした状況を総合的に判断して解除する」
 まずは、「線量が大幅に低下した」ということも、「健康影響は考えにくい」ということも、国が一方的に主張していることであって、住民は、納得できる事実の提示も説明も受けていない。
 このこともさることながら、さらに問題なのは、高木本部長の解除の理由説明の力点が、後段の「復興の本格化」というところにあることだ。「復興の本格化」を内外にアピールするために解除するという、論の運びになっている。話の順序が逆だ。当該の住民が第一義ではないのだ。一体、当該住民の意思や健康を無視して推し進められる「復興の本格化」とは何なのか。
 一昨年の12月に決定された国の復興加速化方針を見るとそのことがよく分かる。復興加速化方針の基本的な意図を次のように要約することができる。
 ⑴福島原発事故の被害規模をできるだけ小さく評価する、⑵賠償額はできるだけ抑え、東京電力や国の負担を小さくする、⑶被災地が原子力災害からいち早く立ち直り、廃炉ビジネスなどの新たな原子力政策の拠点となっていくという姿を演出する、⑷被ばくの影響を危惧する声については風評被害対策としてリスクコミュニケーションで処理する、⑸そういう福島復興をもって、全国の原発再稼働と原子力政策を加速する。
 「復興の本格化」とはこういうことだ。そのために、原発事故の被害が続いていると訴える住民の声を抑え込んで、特定避難勧奨地点の解除と避難・賠償の打ち切りを強引なやり方で進めたのだ。

 ◇20ミリで帰還は
   基準の大幅緩和とリスク増大


 特定避難勧奨地点解除の判断の基準は、年間被ばく線量20ミリシーベルトであった。上でも述べたように、国は、年間被ばく線量1ミリシーベルト基準を棚上げし、年間20ミリシーベルト基準で住民帰還を進めている。この20ミリシーベルト基準は、基準の大幅な緩和であり、健康被害リスクの有意な増加が認められるレベルの数値だ。このことは、低線量被ばくのリスクを軽視ないし否定する人びとでも認めざるをえない事実なのだということを強調しておきたい。
 たとえば、電気事業連合会は、「広島・長崎の原爆被爆生存者調査などから、数百mSvという大きな線量の場合であって、100mSvよりも低い線量を受けた被ばく者には、がんなどの発生について有意な増加は認められていません」〔※1〕としている。電事連とは電力会社各社の連合会であり、言うまでもなく原子力発電を推進する団体である。
 「100mSvより低い線量でがんなどの有意な増加はない」という主張に対して、まずは、原子力施設の労働者の調査で、累積10ミリシーベルト前後でも発がんリスクの上昇を示すデータ〔※2〕を反証として挙げることできる。しかし、ここではその議論はおくとしよう。むしろ、ここで見ておきたいのは、かくいう電事連でも、100ミリシーベルトより大きな線量を受ける場合については発がんリスクの有意な増加を認めているということだ。この100ミリシーベルトとは累積の被ばく線量である。
 ところで、20ミリシーベルトを下回ったところは帰還という場合の20ミリシーベルト基準とは、そこで生活すれば、1年間で20ミリシーベルトに近い被ばくをするということだ。この20ミリシーベルトとは年間の被ばく線量である。だから、そこで5年生活を続ければ、累積で100ミリシーベルトに近い被ばくになり、5年を過ぎて生活を続ければ累積で100ミリシーベルトを超えていくことになる。もちろん空間線量率は漸減していくが、半減期の長いセシウム137の寄与度が高くなっていくので、空間線量率の下がり方は緩慢になる。
 つまり、年間20ミリシーベルト基準の帰還ということは、帰還して数年のうちに(もちろん帰還前の初期被ばくや避難先での被ばくも加算されるわけだが)電事連ですら認めるところの<がん発生リスク等の有意な増加>というレベルの累積被ばく線量になるということなのだ。ここで言いたいのは、被ばくのリスクを最も甘く見る人びとの主張に沿ったとしても、そういう結論が導き出されてしまうということだ。〔※3〕
 国が復興加速化方針の柱をなす20ミリシーベルト基準による住民帰還方針は、ICRP(国際放射線防護委員会)などの基準をも大幅に逸脱し、原子力を推進する国々の中でももっとも緩い基準になる。
 日本が、原子力推進の国際競争でその先頭に立とうという野望なのか。そして、そのために、住民にはリスクを甘受せよということなのか。

              ・           ・          ・

  この日の説明会の最後に、住民が吐き捨てるように言った。
「無理を通して道理が引っ込むっていうけど、そんなことは無理じゃないか」
 たしかに国は、住民を前にして、「決定だ」と押し切った。しかし予定時間を大幅に超えて論議しても、参加した住民を一人も説得することはできなかった。住民の心に刻まれたのは、道理のない話を押し通す国の姿であり、取り返しのつかない不信と憤りの蓄積である。



※1 電事連HP「よくあるご質問【8-1】」
※2 文部科学省委託調査報告書「原子力発電施設等放射線業務従事者等に係る疫学的調査(第Ⅳ期調査平成17年度~平成21年度)/この調査に関する論評として、松崎道幸「10ミリシーベルトでも危険」がある。
※3 ここの展開は、井戸謙一「『1年に100ミリシーベルト』は誤解」(河北新報2014年12月8日)を参考にしている。





 以上








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  1. 2015/01/20(火) 17:00:00|
  2. 南相馬市
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:1
<<【論考】福島における原子力と官僚支配〔上〕 ~出向官僚の内堀氏が福島県知事に~ | ホーム | 折れない。     2015年春>>

コメント

復興の先に原発再稼働ですか

いつも現地の情報を知ることが出来て感謝しております。被曝地の被害の上に「復興促進」の二次被害が積み重なっていると思いました。隣県でも福島の事情は表面的なものしか伝わりません。このブログの取材記事は被害にあった皆さんの呻吟と、それを顧みない自民党政権の傲慢な姿を浮き彫りにしています。河北新報でも伝えられない現地の方々の声を今後もお伝え下さい。非力ですが周りに広めたいと思います。
  1. 2015/01/30(金) 22:30:33 |
  2. URL |
  3. 高橋正芳 #a3hBVw6g
  4. [ 編集 ]

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