福島 フクシマ FUKUSHIMA

津波被害と原発震災に立ち向かう人々とともに

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汚染の現状と防護を巡って ―木村真三氏、河田昌東氏が小高で講演



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(小高小学校/2015年7月 南相馬市小高区)


 8月2日、南相馬市小高区内で、「木村真三×河田昌東 放射線コラボ講演」と題する講演会が行われた。

 福島第一原発から20キロ圏内にかかる小高区は、約1万3千人の住民全員が避難している。南相馬市としては、小高区の避難指示解除準備および居住制限の両区域について来年の4月の解除を目指している。もっとも住民の意向は一様ではない。帰還を目指す住民もいれば、帰還をしないと決めている住民もいる。判断を保留している住民もいる。
 そうした中、この講演会は、帰還を目指す住民らが中心となって企画された。


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 講演を行った河田昌東氏(チェルノブイリ救援・中部理事、元名古屋大学教員、分子生物学)と木村真三氏(獨協医科大学国際疫学研究室長、放射線衛生学)は共に、チェルノブイリ原発事故後の調査や救援に長く関わり、その経験に踏まえて福島原発事故の直後から被災地に入り活動を続けている。
 講演では、原発事故後4年間の汚染の変遷と現状、様々な取り組みから見えてきた対策や課題が報告された。住民からは、放射線防護の具体的な取り組みについて質疑が行われた。また、質疑の後半では、現状において帰還するということをどう考えるかという問題を巡って意見が交わされた。


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(木村真三氏〔左〕と河田昌東氏)


 以下、河田、木村両氏の講演と住民との質疑の要旨を掲載する。

  
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山、川、土壌、野菜の現状
        ―河田昌東氏


 原発事故の後の2011年4月半ばから福島の測定を始めました。まずは、事実を知ることから始めなければというのが基本的な考えです。
 そして、避難できる人、あるいはしたい人は当然避難すべきです。ですが、避難できない人、残っている人たちもいる。そういう人たちの被ばくをいかに下げるか。まずは正確な汚染マップを作る必要がある。それから内部被ばく対策のために、いろんな食品等の測定が必要だ。そういうことで活動をしてきました。


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(南相馬市内での線量測定中の河田氏〔左から2人目〕/2012年5月)


 空間線量率は低減

 まず、空間線量率の測定ですが、2011年6月に第1回の測定を行いました。その結果をマップにしましたが、当時これを見て大変だという気持ちでした。
 それから、半年毎に測って、今年の4月、第9回の測定ですが、青いところ(
自然放射線を引いた上でプラス1ミリシーベルト未満)が大幅に増えています。予想以上に空間線量が下がってきています。
 第1回目のときには、年間1ミリシーベルト未満というのは、全体の5%ぐらいしかなかったんですけども、今回の測定では77%に増えました。小高区では、2012年には21.8%でしたが、今回は61%になりました。

 山で汚染が循環

 ところで、山に近い部分はどうしてもいろんな問題が起こります。
 チェルノブイリの例でいうと、事故直後、木の葉の汚染が15万7千900ベクレル。それが次第に腐葉土になって土の下に沈んで行きます。そうすると土の上の方は汚染が弱くなって行きます。しかし、腐葉土になって沈んで行くと、今度はそれが根から吸収されるようになります。そこで、木の年輪を分析すると、事故後6~7年ぐらいから急に汚染が高くなっています。これは根からの吸収が始まったということです。
 根から吸収すると、また葉っぱも汚染します。それがまた落ちてまた土に帰る。また吸収される。こういう循環が始まるわけです。あとは半減期で減っていくしかない。
 同じようなことは、恐らく南相馬でも起こるんじゃないかと風に考えています。


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(線量測定の打ち合わせ/2012年4月)


 土質の違いと汚染の深さ

 山の土なんですけども、川内村では、まだ地表から3~5センチぐらいのところにセシウムの大半が残っています。カリウムは水に溶けやすいので溶けて下に沈んで行きますが、セシウムは水に溶けにくいので残ります。
 そうするとどうなるかというと、例えば山菜など地表に根を張るものは汚染がうんと高くなります。カリウムがあれば代りに吸収されてセシウムの吸収を抑制するんですが、カリウムは溶けて流れてしまうのでセシウムが吸収されてしまう。山菜の汚染が高いのはこういうことが理由です。
 しかし場所によって全然違います。南相馬市の押釜では地表から20~25センチぐらいまでセシウムが沈んでいます。土質の違いです。粘土質の場合には沈み方は遅いんですけど、砂質の土壌の場合は非常に速い。だから、場所によって汚染の進行の度合いが違うということも考慮に入れなければならないということです。

 澄んだ水と濁り水

 みなさんが気にしている水の問題です。
 土質によって違いますが、セシウムが雨水に溶けて沈んで行くスピードはゆっくりです。井戸水は、みなさん、よく測定に持って来られますが、深い井戸水で汚染が出たケースは今のところありません。これはチェルノブイリでも同じです。
 それから南相馬市の上水道は地下水ですので、水道水に関しては安全であると思います。
 問題はダムの水や川の水を利用しようというときです。セシウムは濁りです。土壌の粒子に固くくっついています。だから、もし、どうしてもそれを利用するというのであれば、例えば、濁りを濾過するのが有効です。透明な水には、セシウムはほとんど含まれていません。例えば、飯舘村の川でも、澄んだ川の水を測定すればセシウムはほとんどない。しかし濁った水を測れば必ずあります。

 アンモニアで可溶化

 ただ水溶性のセシウムという問題があります。なぜ水溶性のセシウムができるかです。
 例えば、鉄分の多い地質の場合です。鉄分が雨で川に流れてきて水中で酸化されんですが、そうすると川の中の酸素が少なくなります。それがダムのような有機物が溜まっているところで起こると、有機物が酸欠状態で分解されます。そうするとアンモニアができます。アンモニウムイオンはせっかく土にくっついているセシウムをまた可溶化する働きがあります。
 そういう状態の水を使うのはとても危険です。そういうこともありうるということをご記憶いただきたい。

 野菜と山菜

 それから、野菜の測定をずっとやっているわけですが、その目的のひとつは汚染しやすい野菜としにくい野菜を区別することです。
 実際にやってみて分かったのは、根菜類は、土の中にある部分の方が高いだろうと思うんですけど、実際は逆で地上部の方が汚染は高いんです。例えば、サトイモのイモは低いけど、上のイモガラは非常に高くなります。
 年毎に汚染は下がっています。野菜に関してはそういう傾向があります。
 ところが山菜、例えばコシアブラなどはてんぷらにするとおいしいですが、汚染は極めて高いです。これは、最近の研究で根の構造に原因があるらしい。
 それから、2013年と14年と同じ山菜を比べてみると、ゼンマイは14年の方が高くなっている。ワラビもそうです。
 こういう風に、山菜の場合は野菜と違って増えてくるものもあるわけです。

 
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志田名と二本松の取り組みから

            ―木村真三氏


 基本的には、「住むべきか、住まざるべきか」ということで、お話をさせていただきます。小高に帰れるからよかったのか。そうではありません。
 まずお話するのは、いわき市の志田名(しだみょう)地区の例についてです。川内村との境です。小高と同じレベルかそれ以上の汚染があった地域です。
 ところが、国はこの地域の汚染を知っていながら、当初、住民には知らせませんでした。放射能が通過した直後、自衛隊が志田名に入って線量を測っていますが、住民に知らせず見捨てています。
 この志田名の大越キヨ子さんは、自分の娘と孫を避難させました。でも孫たちには早く帰ってきてほしいという思いで、線量計を買って測ってみることにしました。中国製の小さいやつです。測ってみると仰天するような線量がありました。
 僕がたまたまこの志田名を発見してキヨ子さんの情報を得て、それから志田名のために動き始めました。


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(いわき市と川内村との境にある川前町下桶売字志田名地区/2011年7月)

      ⇒関連記事「いわきのホットスポット 志田名・荻地区 住民が自ら調査し告発」(2011/7/6)

 

 空間線量の変遷

 米軍と日本が共同で航空機モニタリングをしています。2011年4月12日~16日、志田名地区は黄色です。ところが8月17日には赤く(線量が上昇)なっています。翌年5月23日~6月13日の測定でも志田名だけがホットスポットとして残っています。
 これはどういうことか。放射能は動いて、貯まってきているのです。志田名地区は七つの沢からなっていて、山から落ちてきたものが溜まって土になっているわけです。
 われわれは一所懸命この実態を訴えたのですが、県も市も聞いてくれませんでした。

 住民が自ら測定

 住民のみなさんとこういう会話がありました。
「隣りの川内はうちよりずっと低いのになんでテレビは貰う、冷蔵庫は貰うなんだ」。これに対して僕は、「じゃあ、ゼニカネで解決していいのかい?」と。そうすると住民のみなさんは「そうでねえ、おれらは元に戻したいんだ」と。僕は「正直、この地域は人は住めません」という話をしました。でも、彼らは、「自分たちの地域を捨てられない。自分たちで再生したい」と。「じゃあ、非常に難しいけど、やってみましょう」と。
 で、「田圃一枚一枚が自分の命だ。だから全部の田圃を測りたい」ということで、10メーター区画で測定しました。全部で713カ所。家の周りも、住宅も、庭も、仏間も、2階も測りました。713箇所を彼ら自身で測定しました。それを元に2011年9月に汚染地図ができました。高いところは毎時3マイクロシーベルトを超えていました。

 除染の効果

 その後、志田名でもようやく除染が始まりました。田畑含めて45ヘクタールの表層4センチをはぎ取る表土剥ぎです。その除染が去年10月に終わりました。
 除染後の状況を見るために改めて測ってみました。ところどころ1マイクロシーベルトを超えて2マイクロシーベルト近いところもありますが、平均値で0.44マイクロシーベルトでした。
 除染の効果があったかのように見えます。しかし、本当はどうなのかということを調べようということになりました。
 除染してもらえなかった牛の採草地があります。そこもずっと測定しています。ここから、地面に潜って行ったり、流れて行ったりした自然減衰ということが見えてきす。それから、物理的半減期による減衰があります。何にもしなくても時間が経つと放射能は減ります。これは理論計算で求めることができます。
 こうして自然減衰の分と物理的半減期による減衰の分を合わせると59%の減少でした。
 他方で、除染を行ったところの放射線線量率は84%の減少でした。でも、この84%には
や自然減衰の分や物理的半減期による減衰分が含まれています。だから、正味の除染の効果は25%(84-59=25)ということです。
 これを「25%しか」というのか「25%も」というのか、僕には正直分かりませんが、45ヘクタールの除染でフレコンバックが4万体です。丸2年で何億円もかけた効果が25%。何もしなくても59%は下がるのに。これが除染の実態です。
 しかも除染すれば終わりではないんですね。「先祖様がずっと作ってきた大事な養分の部分を全部除染で取っちまって、山砂を入れている。これが元の土に戻るのには何年かかるんだい?」と。これが現実です。
 住民がこうポツリと言いました。「俺ら、この地域を元に戻したいってここまでやったけど、結局、若い人は帰って来ないんだ。除染して本当にしてよかったのかは正直わかんない」。
 たしかにこれが本当にいい事なのかどうかわかりません。そしてこの地域は20年先取りの超高齢化社会です。若い人というのが60代です。そういう人たちだけの集落になって本当にどうなのかというのが今の問題となっています。


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(住民が自主的に行い、表にまとめた測定結果/2011年7月)


 賠償の話で分断

 志田名地区でも精神的賠償が話になりました。僕は、ゼニカネで問題を解決しない方がいいと言いました。金でまた部落が分断されます。
 1人当たりいくらという計算になりますから、5人家族なら5人分、2人家族なら2人分です。それで格差が出てきます。精神的賠償の話が持ち上がったら、まだもらってもいないのに、「あの家は何人家族だから。うちは2人だから」っていう話になってもうまとまらなくなっている。これに非常に胸を痛めています。

 内部被ばくの実例

 ところで、二本松市では2万数千名の内部被ばくを見ています。内部被ばくの人が見つかったら、検出下限値になるまで毎月ずっと測ります。下がりが悪いときは、自宅を訪問して原因がなにかということを徹底的に調べます。そして低減化を図るということをやっています。
 二本松市のある高校生の内部被ばくの問題です。ある高校生が、1年にわたって内部被ばくが続きました。ずっと上昇傾向を示すのだけど、何でなのかが分かりませんでした。
 最初は夏に差し掛かる前です。若い大豆の枝豆を彼は多食していたということがわかりました。大豆は放射能を濃縮しやすいのです。しかも二本松では、大豆はあぜ道とか除染していないところで作っていました。
 で、枝豆をやめると線量が下がりました。でもまた上がってきました。また自宅に行って調べました。薪ストーブかと思ったのですがそれは違いました。よくよく調べたら、2011年度のコメが原因でした。捨てるのはもったいないと保存していたもの(事故前の収穫だが保存中に汚染)を食べていました。でも測ったら31.5ベクレルです。食品の基準値からいえば食べてもいいことになっています。ただ、この高校生は野球部で1日2升もコメを食べるそうです。これだけ食べると内部被ばくは出てきます。つまり、食品の基準値だけで見ていたら良くないということです。

 帰還することがいい事なのか

 こういったことを含めて、帰れるからといってそれがいいのか、そうでないのか、ということもやっぱり考えないといけないということです。
 二本松や志田名のように住まざるをえない地域で、あれもダメ、これもダメというのは本当に忍びないです。ではどうするか。こうすれば線量は下がるし、食べられるということを提案していくことだと思います。現に住んでいるのに「ここには住めません」「ここでは我慢しましょう」だけではやはり持たないでしょう。
 ただ、小高の場合はこれから住むわけです。そういうところではどうするか。まずは自分が調べて、測ってみる。これが一番大切なことではないかと思います。


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  【以下は質疑】



 薪によるセシウム飛散

 参加者:私の家は薪風呂なんですが、セシウムは飛散するのでしょうか?

 木村氏:はい飛散します。
 二本松で2番目に内部被ばくが強かった方が約4500ベクレル。自給自足をされています。いろいろ調べたんですが、食品などの汚染はほとんどなかった。汚染原因がよくわからないのでいろいろ話を聞いてみました。すると薪ストーブなんですね。そこで、ハイボリュームエアーサンプラーという掃除機の大きいようなもので調べてみることにしました。1時間ぐらい吸引してだいたい1日分の呼吸量の20立米。結果は400ベクレルを超えるぐらいのセシウムが出ました。
 で、すぐに新しい薪ストーブに替えたら劇的に下がりましたが、やっぱり薪ストーブは危険だということは変わりありません。薪風呂の方は家の中全体に拡散しないので薪ストーブほどではありませんが。

 樹木の汚染

 参加者:地区のゴミの片づけで、例えば枝打ちをしたらどっかで焼却しなればならない。たき火にするのか、風呂に入れるのかという問題があります。オール・オア・ナッシング的な話ではなくて実際に生活して行く上で、こういう木は線量が少ないから燃やしても大丈夫とかとういうところを、教えていただきたいです。

 河田氏:木の汚染には幾通りかの経路がありますが、事故が3月の半ばに起こったので、落葉樹と針葉樹の差が出ているわけです。
 事故当時、落葉樹には葉っぱがありませんでした。だから落葉樹に関して樹皮、表面についた汚染です。それが染み込んでいきます。
 ところが、松とか杉とかは葉っぱがあります。かんきつ類もあります。これらは葉っぱが汚染したわけです。葉っぱから中に入って行きます。葉面吸収と言います。しかも針葉樹の葉っぱは面積にするとすごく大きくなります。だから大量に吸収するということが起こったわけです。
 だから相対的に言えば落葉樹の方が汚染は少ないと言っていいと思います。

 川の汚染はどこに?

 参加者:比較的話題になっていないのが川だと思うんです。汚染は沖合の方に行ってしまっているのか、まだ河口付近にあるのか、中流付近なのか、バラバラっと広がっているのか。その辺のところの見解は?

 河田氏:河口の方が高いと思っている方が多いと思いますが、実は逆で、上流のほうが高いんです。絶えず山から下りてきて、沈殿するわけです。下流に来るほど、沈殿量が減りますから、傾向としてはそういうことです。もちろん大雨が降れば高くなります。

 緩いスクリーニング基準

 参加者:表面汚染密度のスクリーニング基準の件ですが、今の国の基準は40ベクレル(/平方センチ)ですね。私は35年間原発にいましたが、当時のスクリーニング基準は法律では4ベクレル、原発内の管理区域の管理基準は0.4ベクレル。それがいま40ベクレルのまま一向に下げられない。避難解除してそこに住んでもいいというのであれば、40ベクレルを4ベクレルになぜ下げないのかということが疑問です。

 木村氏:事故とか汚染があれば原発のイメージが悪くなって、原発は怖いということになります。だから、原発事故が起こる前の基準というのは原発のイメージというがあって、そのために管理基準を厳しくしていたと思います。
 ところが実際に事故が起きて大量に放射能がまき散らされた結果、そんなイメージ通りに行かなくなってしまったわけです。

 河田氏:事故が起こる前と後で変わってしまったんです。事故前は、それまでの研究や国際的なデータから4ベクレルを基準にしていました。ところが事故が起こってそれを超えてしまう現実が常態化しました。すると政府は、本当は4ベクレル以上あってはいけないはずなのに、そういう現実を当たり前のものとしました。
 原発労働者の被曝線量の限度も変えようとしていますね。廃炉作業の都合を人間の安全より優先した考え方です。
 そういうことを考えると、それは間違っているんだということを言っていく必要があると私は思います。

 
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(浪江町の国道6号線沿いで行われているスクリーニング)


 内部被ばく1ミリは疑問

 参加者:原発労働者は3カ月に一回ホールボディカウンターを受けていますが、昔だったら、内部取り込みが発生すると、すぐに監督署への報告とか、原因究明のために一週間ぐらい作業をストップするということがざらにありました。そういう厳しい管理状況だったのに、今は内部被ばくについてあんまりコメントされないし、年間1ミリシーベルト以下だったら安心だって言いますが、内部被ばくだけで1ミリ被ばくするというのはどうなのでしょうか?まして京大の渡邊先生(南相馬市放射線健康対策委員会委員長/京大特任教授)なんかは8万ベクレルと言っていますが非常に疑問です。

 河田氏:ICRPのモデルで行くと、毎日1ベクレルの放射性物質を食べ続けるとある時点で平衡に達します。平衡のレベルは年齢や体重によって違うんですけれども、体重キロあたりに直すと、毎日1ベクレルを食べると、だいたい3ベクレルで平衡に達します。キロ当たり3倍になると考えればいいと思います。
 内部被ばくをシーベルトで考えるかどうかというのは大論争があって批判もありますが、ベラルーシの研究者は、キロ当たり50ベクレルを超えないようにするべきだ、それを超えると危険だと言っています。日本政府の考え方とは全然違います。
理論ではなくて経験則なんです。そうすると例えば、50ベクレルということは、その3分の1だから1日約17ベクレル以下にした方がいいということです。
 今の日本だったら守れるレベルだと私は思っています。
 チェルノブイリの場合、畜産物です。日本では家畜の餌は輸入の配合飼料だから汚染はないです。ウクライナでは雑草を食べています。それは今でも汚染が高い。だから牛乳も肉も高い。そういうものを自給自足で食べている。またキノコを食べたらいけないということは頭では分かっているけど、昔からの食習慣でやめられないわけです。
 ただ、子どもたちの学校給食については30年たった今でも、外からから汚染していないものを入れています。しかし家に帰ると家族で一緒に食べるからやっぱり問題が残ります。

 内部被ばくと健康被害

 参加者:よくチェルノブイリでガン以外にもいろんな健康被害があるといいます。だから福島もいっしょだという方がいます。しかし、今のお話のように内部被ばくについてはずいぶん違いがあると思うんですが、その辺についてどうでしょうか?

 河田氏:恐らく内部被ばくに関して、大幅に違うと思います。ただそれでどういう結果が出るかということはまだわかりません。
 チェルノブイリの例で言うと一般にはガンが言われますが、実際はガンはいろんな病気の一部です。一番多いのは心臓系や脳血管の病気です。
 それが今の福島で起こっているのか、いないのかということについては、医学統計を取る必要があると思います。

 木村氏:日本の場合、医学統計は甲状腺ガン以外取っていないですね。
 ただ、広島・長崎で言うと、脳卒中がガンと同じくらいの出現率になっています。100ミリシーベルト被ばくしたら、100人のうち1人は脳卒中になります。ガンも同じです。さらに心筋梗塞が1.5倍の高さです。あとは白内障です。ただこの原発由来の白内障は今回、ちょっと考えにくいかなと思いますが、心疾患と脳血管障害は気を付けるべきでしょう。
 もうひとつ、原発投下から70年になりますが、10年ほど前から骨髄異形成症候群という血液の第二のガンが増え始めています。これは治療法がまだ確立されていません。60年経って出てくるというものもあるわけです。だから今大丈夫だから安心だということを言えません。


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(小高区の駅通りで進められている災害公営住宅の建設)


 帰還の考え方をめぐって

 木村氏:僕は、帰還ということに対しても、正直なところは反対です。帰還しないでいいのであれば帰還しないでほしいというのが私の願いです。
 例えば、二本松の場合、線量が高く避難指示を出さないといけないのに、出されなかった地域です。もう今さら避難すると言っても遅いわけです。だからいま対処できることをきちんとやりましょうということです。
 しかし、小高の場合、避難ができているわけです。わざわざ帰る必要があるかということはいろんな状況を考えてみるべきだと思います。
 例えば、小高でも海沿いの方は運よく線量が低いので、そういう地域での生活は大丈夫です。ただ山や川との関係が切っても切れない生活環境にあります。山や川の環境をきちんと調べてから判断するというのが大切だと思います。
 だから、僕としては、避難が続けられるのであれば、まずしっかり測って調べてから、それから、帰るべきかどうかという判断するというぐらいの方がよいのではないかと思います。
 小高よりも線量の低い川内村は、いま7割の方が帰村したということになっていますが、実際は週4日以上住んでいる人を帰村者としており、完全に住んでいる人は3割、600人足らずです。

 参加者:今の話を聞いて、私は正直ストレスを感じるんです。震災から4年何カ月経って、それぞれ帰る人、帰らない人と、ある程度分かれているわけです。帰らない人は安全なところに当然行かれるわけで、それはそれです。測れとか線量が危険だとかという話は私ら、4年間、聞いてきました。そういう方面のことは行政とか県とかに働きかけるべきだと。
 放射線関係の専門家の方々に望むのは、そういう話ではなくて、現実問題ここで生活しようとする人たちが最低限安全に住むためには、例えば、川で、畑で、田圃でこういうところに注意すればいいといった前向きな指導をお願いしたいわけです。いつまでも危険、危険ばっかり聞いたってしようがないんです。

 木村氏:スタンスが違います。それはあなたの意見であって、私としては被ばくを見ているし、今ある現実の話をしているわけです。その中で私の意見としてどうすべきかということを言っています。
 あなたの考え方は分かります。分かるけれども、僕が、被ばくという現実を放置して、こうすれば住めますよということは違います。帰還論者と僕は考え方が違いますから。

 河田氏:どうすればいいかということについては先ほども農業に関して少しお話ししたんですけども、対策としてはある程度確立したと私自身は思っています。田んぼにしても、畑にしても、そういう意味では、いろんなことが可能です。

 参加者:私たちは、放射能の専門家ではないんで、そういう難しい数字だとか基準だとかを言われても、なかなか消化できないわけです。そういうことは専門家の方にいろいろ議論していただけばいいと思います。
 われわれ(小高区住民)は1万3千人いて、3千人帰るか4千人帰るかわかりませんが、そういう人たちが、日常生活を送る上で最低限こんなことをすれば、何にも対策を取らないよりは安全に近い側に少しでも移動するよということを提案していただける方がありがたいし、そういう指導なら受け入れられると思います。

 河田:わかりました。この間、ずっと南相馬でいろんな測定をしてきました。それを今、パンフレットにまとめているところです。これは危険だ、これは安全だ、これはこうすればいいといったことです。それをお配りする予定ですので、そういうものを見て対処できるようにしたいと思っています。 (了)












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テーマ:「原発」は本当に必要なのか - ジャンル:政治・経済

  1. 2015/08/27(木) 17:00:00|
  2. 南相馬市
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