福島 フクシマ FUKUSHIMA

津波被害と原発震災に立ち向かう人々とともに

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汚染水流出  その危機の本質


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  (国と東電に怒りをぶつける漁業者 8月22日 相馬市内)




 東京電力福島第一原発で汚染水の流出が止まらない。
 原発敷地の地下を流れてきた地下水が汚染、その汚染水が海に流出している問題、そして、冷却に使った汚染水を貯蔵するタンクから汚染水が大量に漏出した問題である。後者について英BBC放送は、「メルトダウン以来、もっとも深刻な惨事」と伝えている。
 汚染水問題の重大性はかねてから指摘されていたが、ここに来て、汚染水の管理・制御がもはやできないという事態になっており、事故収束作業が破たんの危機に逢着しているのである。そして、この事態がいつまで続くのか、どうすれば止められるのか、誰も答えられない。長期にわたって放射能が海洋に流出し続け、汚染が拡大し続けていこうとしている。
 「止める、冷やす、封じ込める」というのが事故収束3原則だという。が、「止める」を死守するために「冷やす」を必死に維持しているが、それが「封じ込める」をどんどん破綻させていっている。3・11が形を変えて継続しているのだ。
 「東京電力に任せるのではなく、国としてしっかり対策を講じていく」(8月7日)と安倍首相は言った。が、その後の安倍首相の主要な動静は10日間で6回のゴルフ。このように、国も東京電力も、この危機を危機として認識さえしていない。空前の海洋・環境の汚染、漁業をはじめとする産業の破壊、日本にとどまらず世界中の人びとの生活と健康の被害が起ころうとしている。
 だが、ここで汚染から人びとと環境を守らなかったら大変なことになるという危機感は彼らにはない。ここに実は私たちが直面している危機がある。

 以下、福島第一原発における高濃度汚染水の流出問題について、【Ⅰ】では日々報道されている汚染水問題の核心を整理し、【Ⅱ】では、漁業者に対して、国および東京電力が行った説明の内容の検討とそこで発せられた漁業者の怒りの声を報じ、【Ⅲ】では、私たちがこの問題にどう向き合うべきかについて考えたい。




【Ⅰ】  これは非常事態だ




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 汚染水問題は大別して二つの系統がある。



自転車操業の破綻


 ひとつは、核燃料を冷却するための水だ。
 核燃料は依然として膨大な熱を発しているので、冷却し続けなければならない。しかも原子炉建屋も格納容器も大きく破損している。核燃料はメルトダウンして、どこにあるかもわからない状態だ。そこに冷却の海水を注入し続けている。その水は、核燃料に触れるので当然、高濃度に汚染する。そういう汚染水が毎日約400トン発生している。
 その汚染水を貯めるためのタンク〔写真下〕を造り続けている。今年8月中旬の時点でタンクの総容量は約39万トン、そのうち33万トンが既に満杯。1基1000トンのタンクは2日半で満杯になる。だから、これを上回るペースで作り続けなければならない。これが、核燃料が取り出せるようになる何十年先までずっと続く。
 汚染水から放射能を完全に除去する装置はまだ存在しない。多核種除去装置ALPSはセシウムなど62種類までは除去できるとしているがトリチウムは残る。しかも、このALPSは、試験運転した途端にトラブルを起こして7月以来稼働していない。


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◇タンクから300トン漏出

 こういう自転車操業的なやり方に限界があることは誰でもわかる。
 その限界の露見が、タンクからの汚染水の流出として始まった。 
 8月19日、福島第一原発敷地内の汚染水貯蔵タンクから、汚染水約300トンが流出していたと東京電力が発表。この間、タンクからの漏出事故は4件発生していたが、今回は流出した量が桁違い。流出した放射性物質の総量は、約24兆ベクレルと推計。一部は地中に染みこみ、一部は排水溝をつたって外洋に流出している。さらにその後も他の2つのタンクで漏出が発覚。
 漏出を起こしているのは、いずれも、約1000基あるタンクのうちの350基を占めるボルト式のタンク。溶接式のタンクに比べ施工期間が短いために採用されてきたが、これが全部アウトとなるとすると、汚染水の管理が一気に行き詰まる深刻な事態だ。



地下水の汚染


 汚染水問題のいまひとつは、原発敷地内に流れ込む地下水の汚染だ。
もともと、第一原発1~4号機の地下には、大量の地下水が山から海に向かって流れ込んでいる。その量は1日約1000トン。
 地震・津波と事故によって、原子炉建屋が大きく破損、そこに地下水が流入している。建屋に流れ込む量は1日約400トン。建屋は事故によって汚染しているので、そこに流れ込んだ地下水は当然汚染する。
 さらに、原発の地下に張り巡らされたトレンチ(配管、電線を通す地下の空間)には、押し寄せた津波の海水、あるいは冷却のために注入された水が漏れ出して大量に溜まっている。そのトレンチは地震でひび割れており、そこから汚染水が外に漏れ、あるいは地下水が流入している。
 もっとも深刻なのは、核燃料が圧力容器からも格納容器からも溶け落ちてメルトスルーしている可能性だ。そうだとすれば原子炉建屋に流れ込んだ地下水が、直接核燃料に触れていることになる。これは、猛烈な汚染になる。〔下図〕
 こうして地下水が汚染し、それが海に向かって流れていくことになる。


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◇当初から警鐘

 このような仕組みで地下水が汚染する危険は、当初から指摘されていた。
 小出裕章京大助教は、事故直後からいちはやく危険を指摘した上で、「トレンチの汚染水は巨大タンカーへ収納、柏崎刈羽原発で処理」、「地下水の流入対策には、原子炉建屋周辺をできるだけ深い遮蔽壁で囲う」という提案をしていた。
 実は、政府・原子力災害対策本部でも、2011年12月21日付のペーパーで、「海洋汚染拡大防止計画」として、「万一地下水が汚染した場合の海洋流出を防止するため、遮水壁の構築を2014年度半ばまでに完了」と明記、問題を認識し対策にも言及していた。
 しかし、その後、何らの手も打たないまま、放置されてきた。

◇警告も無視
 
 さらに可能性を指摘するだけでなく、汚染した地下水が既に海に流れ出しているという警告が、既に1年以上前から、専門家らの福島県沖の放射性物質の濃度の調査からなされていた。また、今年5月以降、海側の観測井戸の地下水で高い濃度の汚染を東京電力自身が確認していた。
 しかし、それでも、東京電力は海への流出をなかなか認めようとしなかった。「流出していると見られる」と東京電力が認めるのは、7月参議院選挙の投票の後というタイミングだった。
 もっとも、東京電力も、流出は分かっていたはずで、実際、今年7月になって海岸近くの地中に水ガラスによる遮水壁の設置に着手、第一列が7月下旬に完成している。が、地下水はその遮水壁も越えて漏れ出していった。

◇まだ序の口

 上述したように、核燃料に地下水が直接触れていれば、その汚染は激しいものになっている。その汚染水が海に流出するのは実はこれからだ。地下水の移動速度にもよるが、じわじわと海に向かっている。
 事態はまだこれから悪化する可能性が高いのだ。




【Ⅱ】  国・東電の説明に漁業者の怒り



 8月22日、相馬市内で、相馬双葉漁協が、試験操業検討委員会を開催した。組合員や仲買業者など約80人が出席。その場に、経済産業省と東京電力の担当者が訪れ、汚染水問題に対する謝罪と対策の説明を行った。説明に当たったのは、経済産業省資源エネルギー庁の上田洋二調整官、東京電力の新妻常正常務、林孝之福島本部副本部長など。


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経産省 机上の計画 

 
 上田調整官〔写真上〕の説明の要旨は以下のようであった。

まず冒頭で、「たいへんな御心配をおかけしています。7日、安倍総理から、『汚染水問題は喫緊の課題であり、国としてしっかり対策を』というお話があり、『経産省も迅速な対策を』という指示がありました」と。
その上で、①汚染水対策の三原則、②直ちに行う緊急対策、③今後1~2年で行う抜本対策という骨子で国の対策を示した。その骨子とは――

①汚染水対策の三原則
 1.汚染源を取り除く
 2.汚染源に水を近づけない
 3.汚染水を漏らさない

②直ちに行う緊急対策
 1.トレンチ内の高濃度汚染水を除去する(8月中旬から) 
   ~【取り除く】
 2.水ガラスによる汚染エリアの地盤改良、アスファルト等による地表の舗装、地下水のくみ上げ(今週中に開始)  
   ~【近づけない】【漏らさない】
 3.山側から地下水をくみ上げる  
   ~【近づけない】

③今後1~2年で行う抜本対策
 1.サブドレン(建屋近傍の井戸)から地下水をくみ上げる  
   ~【近づけない】
 2.海側に遮水壁を設置する  
   ~【漏らさない】
 3.凍土方式で陸側に遮水壁を設置する」  
   ~【近づけない】【漏らさない】

 
 以上が上田調整官の説明のほぼすべて。つまり、対策と言っても、本当に大枠の話だ。これは、この間、東京電力、政府、規制庁などで議論されている話を、体裁よくまとめた机上の計画。事態に向き合って悪戦苦闘している中から出て来たものではない。2年前ならいざ知らず、この期に及んでこんな机上の計画を示して済むと思うところが、漁業者を愚弄している。
 さらに、例えば、汚染水対策の三原則のところに「汚染源を取り除く」とあるが、説明を聞くと、上田調整官が言う汚染源とは、核燃料ではなく、トレンチのこと。トレンチ内の汚染水をくみ取れば汚染水の流出は防げると踏んでいるのだ。もちろんトレンチに溜まっている水も激しく汚染しており、それも汚染源のひとつ。しかし、そもそも核燃料がどこに行っているかもわからず、メルトスルーして直接地下水に触れている可能性が大なのに、どうしてあらかじめ甘い想定にするのか。「対策はやりました。でもやっぱり駄目でした」という結末が予め見えている対策でしかない。
 また、直後で検討の時間がなかったとはいえ、汚染水貯蔵タンクからの漏水問題、さらにタンクを造り続けるという自転車操業的なやり方の問題にたいしてどうするのかといったことについては、次の東京電力も同じだが、ほとんど言及がなかった。
 そして上田調整官の説明の中で印象に残った点を挙げれば、「総理の指示で」というフレーズを繰り返したこと。この間、「国はどうして前面に立たないんだ」という批判にさられており、それへの対応なのだろう。しかし、苦しんでいる漁業者を前にして、伝わったのは、泥を被りたくないという国の逃げ腰の姿勢だけだ。


 
東電 「影響ありません」


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 東京電力の新妻常正常務、林孝之福島本部副本部長〔写真上〕の説明の趣旨は、以下のようであった。
 
 まず、対策の三原則、緊急対策、抜本対策という枠組みは、経産省の説明と全く同じ。
 その上で、かなりの量の図表やデータを提示して説明した。これは、わかりやすくするというより、それらしい数字をたくさんあげることで、俄かには疑問を呈しにくい雰囲気にしている。
 が、そういう中で、東京電力がもっとも言いたかった事柄はおそらく次の点にあるだろう。
 
・「継続して海域モニタリングを行っていますが、港湾外への影響はほとんどありません」
・「水ガラスによる地盤改良で遮水効果が有効に発揮されたと考えます」
・「港湾内・港湾境界付近では、影響は限定的です」

 「影響はない」「効果は有効に発揮」「影響は限定的」という文言が繰り返された。つまり、世間は騒いでいるかもしれないけど、実際には大したことはありませんよ、というのが真意なのだ。図表やデータは、進行している危機をとにかく小さく見せるための詐術とすら言える。
 しかも、その論法はこうだ。

・「事故直後はかなり高い数値で、いまはかなり低い数値。そして、この間、数値は大きく変わっていません。漏えいは続いていますが、影響は限定的です」
 
 つまり、事故直後の深刻な数値と比較して見せて、それに比べたらずっと低いから大丈夫、という論法なのだ。
 さらに、効果を発揮しているという水ガラスによる地盤改良でも、「20%は透過してしまいます」とさらりと言っている。

 なお、報道によれば、福島第一原発の港湾内で採取した海水のトリチウムの濃度が1週間で8~18倍に高くなったと、東京電力が8月23日に発表。海洋への放射能汚染の拡大が進んでいることはもはや否定しようもない事実。

◇海洋投棄ねらう

 もっと驚くのは次の説明だ。

・「事故後の約2年間の累計で、港湾に流出した量の試算は、トリチウムが40兆ベクレル、ストリンチウム90が10兆ベクレル、セシウム137が20兆ベクレル。それにたいして、平常運転の福島第一原発のトリチウムが年間22兆ベクレル、それ以外の放射性液体廃棄物が年間2200億ベクレルです」
 
 平常運転でもこれだけの放射能を出してますよ、という開き直り方にまず驚く。
 そして、事故が起こって炉心が溶けても、流出した放射能の量は年間に直したら平常時と変わらないから、全く大したことはない。2011年3月みたいにまとめて出すと騒ぎになるけど、小出しにすれば全然問題ない、海は広くて大きいから影響はほとんどない、と言っているのだ。その上で、数字を検証する必要があるのであって、事故後に流出した放射性物質の量は、東京電力の主張よりはるかに多いとする専門家もいる。
 放射能にたいする感覚が麻痺しているとしかいいようがない。
 このような説明の向こうに見えるのは、汚染水対策が早晩、行きづまることは明らかで、そのときには、海洋への投棄に進みますよ、ということだろう。

◇環境も人も守らない

 東京電力のこのような説明の姿勢からは、環境も人も守る気など全くないと言わざるを得ない。
 国内外の専門家で構成する東京電力の第三者委員会「原子力改革監視委員会」のデール・クライン委員長(米原子力規制委員会の元委員長)が、東京電力の汚染水問題への対応に関して、7月29日、次のような批判を述べたが、全く当を得ている。
 「安全側に立った意思決定の姿勢に欠けている。国民に十分な情報を提供していない」「東京電力は自分たちのやっていることが分かっていないのではないか。計画がなく、全力を尽くして環境と人びとを守ろうとしていないと映る」
 

 
「一体、何年かかるのか」  漁業者が悲痛な訴え



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 次に、経産省と東京電力の説明の後、漁業者らが質問や意見を述べた。そのやり取りの一部を紹介する。

・・・・・・・・・・・・・

漁業者A: 東電の言うことなんか信じられない。操業ができるようになるのに、何年かかるの?新妻さん(東電の担当者)、あなたは何年かすれば部署も変わり、退職したら、それで終わりでしょ。でも私らずっといるんだよ。
 私はまだいいよ。もう年だから。でも息子は30代。孫もいるよ。息子には「漁師はやめろ」と言っている。先が見えないから。でも「やりたい」と。俺も心の中では継いで欲しい。でも言えないよ。こんな状態じゃ。何年かかるの?答えなさいよ。国のトップ、安倍さんをここに連れて来なさいよ。 

漁業者B: 「影響ない」というけど、東電の説明でも、完全に止められるという話ではなかったじゃないか。

東電・新妻: 止めたいです。止めるようにします。

漁業者C: 「影響ない」なんて、全く信用できない。

漁業者D:
 「数値が変わってない」というのは、むしろ、汚染水が流れるのが今回始めてではなくて、前々から汚染水が流れていたということじゃないの。それが今回初めて分かった。というか東電がはじめて認めた。これまで隠していたということでしょ。

漁業者E: 今の東京電力は信用できない。国が前に出て来なさい。総理が来なさい。

経産省・上田: 総理からの指示にもありましたので、事業者任せにしないということで・・・。

・・・・・・・・・・・・

 漁業者を愚弄する国や東京電力の説明に、厳しい批判が飛び交った。
 ひとつひとつの言葉に、何代も続けて来た漁業を守りたいという思い、何とかここで収まってほしいという願いと、事態の深刻さにショックを受ける心境とが、複雑に込められていると感じた。



反乱を抑える仕組みも


 ところで、この日の集まりは、事前の予測ではもっと荒れると思われたが、案外に静かに感じられたのはどうしてか。その辺を参加した漁業者のSさんに訊いてみた。
 Sさんが言うには、こういうことだ。
 「漁業者はいま漁に出られないから、東電の賠諸金と海のガレキ撤去で暮らしているわけ。でもガレキ撤去は今年で終わり。そうすると賠償金だけ。不安だよ。だから、本当はもっと強く言いたいよ。東京にもいって声を張り上げたい。でも、そんなことをして、もしも賠償金を打ち切られたりしたら思うと、みんな躊躇するんだ」と。
 100パーセントの被害者なのだから、賠償を受けるのは当然だ。ところが、現在の賠償の仕組みだと、賠償の額も、払うか払わないかも、加害者である東京電力のさじ加減次第になってしまっている。そのために、破壊された生活と生業の再建が、東京電力に握られてしまっている。これはおかしい。こういう仕組みが、福島の人びとの抵抗や反乱を抑え込み、ねたみややっかみを生んで分断を組織している。

◇漁連の会長さん

 もうひとつ、Sさんは難しい内情を話してくれた。
「さっきも発言していた県漁連の会長さんがいるでしょ。会長さんは、東電となあなあなんだな。会長さんのところは大きな会社で、大きな船で遠くで魚を取っているから、全然困っていないの。それに会長さんは社長さんでそもそも船になんか乗らない。私らとは全然違う立場。そういう感じだから、『もうリコールでもするべー』という話もあるんだけど」
 たしかに、野崎哲県漁連会長の話は、どうも歯切れが悪いと感じたが、そういうことだったのだ。漁業者の憤りを抑え込むもう一つの仕組みがこれだった。もっとも、Sさんの口ぶりからは、抑え込まれてきた怒りがそろそろ爆発するという機運も窺える。




【Ⅲ】  誰がどう責任を取るのか



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(予定した試験操業の中止を余儀なくされた漁船 相馬市松川浦)


 「国は責任を取れ」。その通りだ。もちろん責任をとれるものなら取るべきだ。だがそれでこの危機を突破できるのか。



ダチョウの政策


 「ダチョウの政策」という皮肉がある。ダチョウという鳥は、自分に危機が迫ると穴に首を突っ込む習性があるらしい。迫り来る危機を見なければ、危機を回避したつもりになれるというわけだ。
 いま、政府、東京電力、原子力ムラ、メディアはもちろんだが、日本全体が、事態の深刻さを見ようとしていないように見える。この空気が危険だ。
 かつて日本は、その大義も展望もないのに、侵略戦争の泥沼に突き進み、多大な加害と被害の挙句に破綻した。そして、当時の政治家、軍部の連中の惨めなほどのダチョウぶりだ。
 原発事故をめぐる今の政治状況、言論状況は、「いつか来た道」の轍を踏んでいるのではないか。


 
作業を担っているのは誰か


 この間、収束作業に携わる作業員の被ばく量がどんどん増え、また身体汚染といった事故が続発している。
 タンクから汚染水が漏れたと言って、そこに駆けつけるのは作業員。漏れた汚染水や汚染した土壌の回収、そして、漏水を起こしたタンクから別のタンクに汚染水をホースで移し替える作業。どれもこれも、すさまじい被ばくだ。しかもこれは本当に無駄な被ばく。杜撰で場当たり的な計画のために作業員がさらに余計な被ばくをさせられているのだ。
 私たちは「汚染水を止めろ」「国は責任を取れ」と叫んで、政治家や東京電力に怒りをぶつけるが、政治家も官僚も東京電力社員の大多数も、自らを犠牲にして何かをなすことはない。
 「止めろ」と言われて実際に被ばく作業に飛び込んでいるのは現場の作業員なのだ。その多くは、結局、福島県の浜通りの人びと、全国の原発立地地域からやってきた人びとなどだ。


 
人類的な危機を前に

 
 大量の汚染水の流出という非常事態に際し、東京電力も国も、責任は取らないし、取れない。しかし、直ちにそれらにとって代わる主体が登場しえていないのも事実。そのためにダチョウが延命し、事態をさらに悪化さている。交代すべきなのに交代がいない。私たちは、今、人類的な危機を前にして、歴史上のもっとも難しい局面に差しかかっている。
 誰もが望んでいるのは、人の命と環境を守ることに全力を挙げ、収束作業を遂行するという一点で、全国・全世界の英知を結集することだろう。東京電力でもない、政府でもない、そういう「非常対策委員会」のようなものが必要なのだ。
 その委員会は、完全な公開で、この委員は、全国民・全民衆によって監視され、審査され、不適格と見られたら直ちに解任されなければならないだろう。そして、その委員会の下に、一定の年齢以上(たとえばR-50とか)の人びとが全国から志願して結集し、収束作業を担う。もちろん原子力ムラの人びとには義務として担ってもらう。
 「そんなことができるわけがない、理想論だ、極論だ」というかも知れないが、例えば、そういう風にこれまでの政治や統治のシステムを超えた問題として問題が提出されないかぎり、ダチョウの政策が続き、事態は最悪に至るのだ。

 危機を危機として見据えない空気を、すべての人が打ち破るために真剣になろう。(了)





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テーマ:「原発」は本当に必要なのか - ジャンル:政治・経済

  1. 2013/08/24(土) 17:18:58|
  2. 収束作業/原発労働者
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