福島 フクシマ FUKUSHIMA

津波被害と原発震災に立ち向かう人々とともに

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

「納得いかない。どう考えても納得いかないんだ」  中間貯蔵・搬入開始

ikd001.jpg 
(住民説明会の場で、環境省などの官僚たちに向かって、意見を述べる池田耕一さん〔写真中央の起立している男性〕。昨年6月1日)


 3月13日から、大熊町に設けられた保管場への除染廃棄物の搬入が開始された。当初、双葉町の保管場にも同時に搬入を開始する予定だったが、双葉町民から抗議の声があがり、開始が延期された。今後どう展開するかは予断を許さない。
 「保管場」はあくまでも一時的な置き場。除染廃棄物を処理・貯蔵する「中間貯蔵施設」の用地取得は、まだ全く進んでいない。地権者2300余人の同意がないからだ。福島県知事や大熊・双葉両町の首長の受け入れ表明が大きく報道されているが、肝心の地権者で同意に漕ぎ着けたのは現時点まだ2300余人中たった1人。地権者の大半が交渉にさえ入っていない状況だ。にもかかわらず、国は、除染廃棄物の搬入を開始した。

 こうした中で、地権者の一人、双葉町大字郡山の池田耕一さん(84)にお話を聞いた。池田さんは、この地で6代250年続く農家。福島第一原発のサイトから約3キロ、敷地境界からは約1.5キロのところでコメとホウレン草づくりに精を出していた。現在は南相馬市に避難中だ。
 「国のやり方に納得がいかない」
 これが池田さんをはじめとする地権者の率直な気持ちだ。
昨年の説明会で地権者から出された要望や意見に対して、国は答えていない。それどころか、説明会以降、国からの池田さんへの話は、電話が一回あっただけ。誠意が見えない。そして、国は「30年以内に持ち出す」と言っているが、そういう空手形でごまかそうとするやり方に、池田さんは不信を抱いている。用地取得が進まないことを地権者のせいであるかのように世論を仕向け、被災者同士を分断するようなやり方にも憤っている。
 ふるさとを汚染された上に、さらにそのふるさとを永久に奪われる苦しみ。これに対して国は向き合おうとしていない。このことを池田さんたち地権者は訴えている。
 池田さんは、また、「国民全体で負担を分かち合って」と訴えている。中間貯蔵施設問題は、国と地権者との間だけの問題ではないはずだ。ところが、国民の大多数にとって他人事になってしまっている。国民の大多数がそういう意識であることによって、大きな被害を受けた者に、もう一度、被害を与えるような理不尽がまかり通ろうとしている。そして汚染の原因者・加害者らが、そういうことを平然と繰り返そうとしている。
 除染廃棄物をどこに持っていくのかという具体的な議論に入る前に、私たちには、考えるべきことがある。
 池田さんら、双葉町、大熊町の地権者のみなさんの声に耳を傾けてほしい。
 

      ・        ・        ・



まだ何の話し合いもないのに



――13日から、一時保管場所への搬入が始まります。〔インタビューは3月7日〕

池田さん:なんか堰を切ったように、どーっと行こうとしているね。国が流れをつくって、被災している私らを、抑え込もうとしているわけでしょ。
 地権者は2千3百人ぐらいかな。その地権者の同意も取らずに、どうよ、このやり方。しばらく前にはね、「地権者一人ひとりにご説明に伺います」といっていたのに。

――去年の5~6月、国による住民説明会が、また9~10月に地権者説明会が行われましたが、その後、どのように進められてきたのでしょうか?

池田さん:地権者説明会のときはね、国からは、「福島県民の生活を良くするために、大熊さんと双葉さんにお世話になんなくちゃなんない。ご理解ください」ということだったね。
そしてプリントを渡されてね、水田が1平米なんぼ、畑がなんぼ、山林がなんぼ。いやもう、見たら、買い取りの基準がうんと低いんだ。事故前の5割って、私らにとっては半値以下だからね。
 「新たに土地を見つけて、家をつくって、生活して下さいよ」と言われてもね、国の基準では、土地は買えても、家は建たないのよ。いわき市だって原町だって、ずっと高いわけ。なぜ移転先の価格を基準にしないんだって。で、土地を買ったけど家が建たないから借金するとなるけど、みんな高齢化しているから、銀行さんも貸してくれないわけでしょ。
 そんなねえ、放射能がなければあのふるさとに住でいたのに、なぜそんな低い値段を踏むんだって。地権者説明会のとき、「この数字では、家は建たないよ。即見直して下さい」っていったけど、国は「帰って、検討させていただきます」とそれだけ。

――検討した結果は?

池田さん:何も変わっていないね。

――すると、地権者の方に個別の説明は?

池田さん:ないね。連絡も電話が一回だけ。環境省からね。
「地権者の方を訪問していますが、いろんなところに避難していて、わからない人もいて時間がかかっています」と。わかる人を先にやればいいんだよね。
 「で、私のところはいつごろになりますか?」って訊いたら、「池田さんのところは大分遅れるんですが・・・」と。「ああ、いいですよ。でも、できれば早くね」。
 そういうやりとりがあった。それがだいぶん前の話だから。それ以降、何の連絡もなし。
住民説明会を12回に分けてやって、われわれは本気になって意見を言ったよね。でも、それがぜんぜん届いてない。これは情けないね。

――結局、説明会以降、国から何の話もないのに、13日から搬入が始まると。これは大変なことですね。 

池田さん:3月3日の新聞(福島民報「中間貯蔵施設」特集)には、Ⅰ型施設とか、Ⅱ型施設だとか、中間貯蔵施設の配置図が出てるんだよね。もう決まったことのようにね。まだ話し合いだって始まっていないのにだよ。私ら地権者は無視されてるんだよ。
 それから、「一時帰宅のお墓参りは最後ですよ」ってことも新聞に書いてある。今度の3月11日が最後で、除染廃棄物の搬入が始まったらもう墓参りもできないんだね。いやいや呆れちゃうね。こんな状態だったら騒ぐよ。
 これね、相手が国だからね。これが民間の一対一の話だったら、こんなことは絶対に成り立たないでしょ。原子力発電所をつくるときと、なんかやり方がそっくりだね。

※池田さんは、50数年前の原発立地前の住民説明会に参加している。このときの貴重な証言があるがそれは続編として掲載予定



ikd003.jpg
(原発事故前の池田さんの自宅。6代、250年の歴史が積み重ねられている)



地権者同士のつながりへ


――双葉町としては、今年1月13日に受け入れを表明していますが。

池田さん:残念だよね。だって、12回にわたって説明会をやって、賛成意見を吐いた人は、ほとんどいなかったわけでしょ。で、町民懇談会をやって、そのときも、私から伊沢町長に、「町長、大熊町は受け入れたけど、隣り町が受け入れたからって、双葉町も受け入れなくちゃなんないということはないんだから。地権者とよーく話し合ってから結果を見たらいいんじゃないの」って言ったんだ。でもね、町民懇談会をやって間もなく、受け入れを表明したんだよね。いやー、町長は慎重に事を運んでいる人だから高く評価しているんだけど、もう苦しくて言っちゃったということだろうね。
 本当はね、双葉町だったら郡山と下条(げじょう)の地権者で会議を持って、そこで、何回も議論して結論を見出すというのがいいんだろうけど。集まるということは非常に大事なんだよね。でも、みんな、散り散りバラバラに避難している状態だから、なかなか難しいんだな。
 でも、今年に入ってから、大字郡山の区長の斉藤宗一君(双葉町から茨城県に避難中)が、事態を大変心配して、大字会(行政区の集まり)をやろうということになって、やったんだよ。

――みなさんの意見はどうでしたか?

池田さん:そこで、いろいろ話が出たけど、みんなの意見を総合すると、やっぱりね、息子の代では無理でも、孫や曾孫の代には帰れるのではないかって思っているわけだよ。ふるさと、生まれた家をぶん投げてきたけども。孫、曾孫の代になって、あの恐ろしい放射能がなくなってよかったという時代が必ず来るよ。まあ何十年かかるかわかんないけど、いつかかならず帰れると。
 それなのに、除染廃棄物が山ほど積まれたら、ものすごい量だからね。大字郡山が山になってしまうんだから。で、大気汚染や地下水汚染でダメになって行くでしょう。で、最終処分場ができたとしてそこに持ち出しても、地下水の汚染なんかは何百年と続くでんしょう。水が汚れてしまったら、結局、住めなくなるんだよ。
 大字郡山の人たちも、大熊さんの人たちも、そこで生まれた人にとっては、みんなそういう気持ちなんだな。


ikd002.jpg
(収束作業中の福島第一原発の排気塔が、大字郡山からは直近に見える)



「中間」「30年以内に」という欺瞞


――国は、「30年以内に県外に持ち出す」としていますが。

池田さん:そもそも、なぜ二つも施設をつくる必要があるんだろうね。なぜ最初から一つに絞らないんだと。膨大な無駄でないか。施設を二つ作って、運び込んで、また持ち出してと、もう膨大なお金がかかる。国はそれほど豊かではないでしょ。最初から最終処分場を見つけてつくったらいいわけでしょ。その方が、金もかからないわけだから。
 それに、「30年以内に県外に持ち出す」というけど、今できないんだとすれば、30年後の孫、曾孫の代になったら、なおさらできないんでないの?

――国は「30年以内」という約束を守るでしょうか?

池田さん:例えば地上権の話ね。われわれは、いつか必ず帰れるって思っているから、土地は売らないで所有権は住民に残したいのよ。これは当然でしょ。だから、国が国有化したいといっても、われわれ地権者は、地上権だけは残して、国に対して貸すということを考えているわけだよ。
 だけど、新聞〔福島民報3/3付〕を読んでたら、「地上権」ということで、「土地の所有権は住民に残す。ただ、地権者の承諾がなくても登記や譲渡、転売ができるため、借り主(ここでは国)には土地賃借権(ここでは地権者)よりも一段強い権利がある」と。
 私らには全く理解できないんだけど、つまり、「30年以内って言ってたけどやっぱりダメだったので、しばらく置いときます」と国が言いだしたとき、「返しなさい」と言っても、地上権の方が強いということでしょ。いや驚きだね。
 それから、中間貯蔵施設に貯蔵されたものを、焼却できるものは焼却して、振り分けて、産業復興に再利用できるものは利用するとか言ってるよね。「30年以内に持ち出す」という話が、いつの間にか、こういう風に使えるんだって話になっちゃってるんだよ。
 こうしてみると、やっぱり、どう考えても、国のやり方って言うのはなんか、われわれにとっては納得いかないね、納得がいかないんだよ。
※環境省 2014年10月28日 衆院環境委員会

――納得できないということのひとつに、そもそも、「中間貯蔵」とか「30年以内」といのが欺瞞だという思いがあるということですね。

 池田さん:そういうことだよ。私らも、ただただ反対しているわけじゃないんだよ。双葉町に汚染廃棄物を持ち込まれるのがいやだということだけを言ってるんじゃない。国も、県も、大熊・双葉の両町も、みんながいい方向になればと思ってるんだ。だけどね、納得できる話を国がしてくれないんだから。


ikd005.jpg
(震災前、ホウレン草のパイプハウスの中で作業の手を休める池田さん夫妻)



国民全体で分かち合う


――説明会でもふるさとへの思い、ふるさとを失う苦しみを切々と訴えていました。

池田さん:池田家が相馬に来て私で6代目。250年ぐらい前に、鳥取から相馬にやってきた。1代目のご先祖が「相馬二編返し」という民謡の、「ハァ 相馬相馬と 木萱もなびく なびく木萱に 花が咲く 花が咲く」という節にほだされて、こっちを目指したそうだ。頼る親戚も縁故もあったわけじゃないんだよ。
 途中、千葉の銚子で漁師をしたりして、ようやく辿りついたところは、一面平らで、広い広い葦谷地だったんだ。
 「よしここを切り開こう」とご先祖が決めてから、毎日毎日、筋肉労働で、荒地を興して、寝る間も惜しんで、汗みどろになって。そうやって代々、少しずつ水田を広げていった。で、私の代で、3町3段3畝(約330アール)だな。
 コメとホウレン草ね。コメは、インターネットでも販売していて、本当においしいから、人気だったよ。それでもコメだけでは生活を支えることができないんで、パイプハウスで一年中ホウレン草をつくっていた。夫婦二人で本当によく働いたよ。
 そうやって、先祖代々励んで、築き上げてきたものなんだ。だからご先祖がそうやって築いた財産を、そんなに簡単には行かないんだよ。

――先祖代々の土地への思いを誰も踏みにじることはできないと思います。しかし、国は、そういう思いを汲もうとしませんね。

池田さん:そうだね、残念ながら。
 「福島県を復旧・復興しなくちゃなんない。元のきれいな福島県にしなければならない」。そりゃその通りだ。だけどそう言いながら、なぜ大熊、双葉に廃棄物を持ってくるの。そしたらこの2町村は永久に復旧・復興できないじゃないのって言っているんだよ。
 で、大量の廃棄物を一カ所にまとめるから、山のようになるわけだよ。それを同じ国民で、小さく分け合って、持ち合えばということも、言っているんだよ。ちっちゃく分け合って、持っていればいいじゃないの。

――全国民で負担を分かち合って、解決すべき問題ではないかと。

池田さん:そういうことだよ。
 ところがね、例えばこういう話があるんだね。仮仮置き場の契約延長を巡る話だけど。地主さんは、「3年契約じゃなかったのか」って言うわけ。たしかにそういう契約だったからね。で、その町の町長さんが地主さんに詫びてるんだけど、その町長さんがどういう風に話したかというと、「双葉町、大熊町の方々が・・・」って。なんですか、地権者の所為にしているのよ、地権者の所為に。われわれ、別に反対、反対って言ってるわけでもなく、そもそも話し合いもできていないのに、「地権者との交渉が難航して進まない」んだと。
 これは、ほんとに私ら、腹は立てたくなくても、腹立っちゃうよ。大字会でも、「ゴネてないよねー?」っていったら、「そうだー!」ってみんな声を挙げてたよ。

※誤字ではない。仮置き場のさらに前の段階

――同じ被災者同士が分断され対立させられていますね。そして、一番責任のある東京電力や、一番泥を被らなければいけない国が逃げてしまっています。汚染廃棄物をどうするのかという問題を、大熊町、双葉町の人たちに押しつけるのではなくて、国民全員が当事者となって考える必要がある。言い換えれば、現状は国民の大多数にとって他人事になってしまっている。国はそれをいいことに、大熊町、双葉町に押しつけようとしている。「それはおかしいのではないですか」ということを訴えられていると思いました。

池田さん:そう、そう、その通りだね。
 同じ国民で小さく分け合ってと言ったのは、そういうことを言いたかったんだ。
 私ら地権者がどういう気持ちでいるかってことを、国の人にも、国民の皆さんにも、本当にわかってほしいんだ。

〔了〕




スポンサーサイト

テーマ:「原発」は本当に必要なのか - ジャンル:政治・経済

  1. 2015/03/14(土) 12:00:00|
  2. 中間貯蔵施設
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

「できれば、東京に持って行ってもらいたい」  ―中間貯蔵施設・住民説明会


chk001.jpg 





 中間貯蔵施設設置の問題について、国による住民説明会が、5月31日から6月15日まで16回の予定で開催されている。
 中間貯蔵施設とは、福島県内の除染で出た汚染土、汚染の高い焼却灰などを保管する施設。国は、双葉町・大熊町にまたがる東京電力福島第一原発周辺に設置したいとしている。また、30年以内に、県外に最終処分場をつくり、そこに搬出することを法律に明記すると、国は説明している。
 説明会の第一回、5月31日のいわき市・勿来(なこそ)会場、および第三回、6月1日の南相馬市・原町会場を取材した。
 勿来会場には約700名、原町会場には約180名が参加。勿来の会場は、第一回ということに加え、近傍に双葉町民が多数避難している仮設住宅があることもあり、会場はほぼ満杯の状態だった。
 説明会全体の時間は2時間、最初に国の側が約40分説明を行い、その後、住民がマイクをもって発言、質疑が行われた。


 ため込んだ思い吐き出す

 勿来会場の住民側の発言者は8名、原町会場では9名。単純に賛成・反対で割り切れるものではないが、中間貯蔵施設設置に賛成寄りの発言が4名、反対寄りの発言が13名という比率であった。
 反対意見の住民からは、次のような言葉が吐き出された。

 「できれば、東京に持って行ってもらいたい」
 「双葉郡の人間だけで、この災難を背負うのはおかしい。電力消費地の住民と災難を分かち合うべき」
 「みんながいらないものは、私たちもいらない」
 「同じ国民として、人権を認められてないんじゃないか」
 「全国の自治体で応分に受け入れるべき」

 原子力は国策として推し進められてきたものだ。そして、国民の大多数がそれを承認し、その恩恵を享受してきた。
 にもかかわらず、原発事故の被害は、特定の人びとに集中されている。さらに今、その災害の後始末が、またぞろ双葉町・大熊町の人びとに押し付けられようとしている。
 犠牲だけが特定の人びとに繰り返し集中される構造―そういう犠牲の構造を、住民らは告発している。
 その告発は、国に対してだけ向けられているのではない。
 「汚染物はやはり一番汚染しているところに持って行くべき。汚染を福島から出すべきではない」という意見がある。合理的にいえば、その通りだと言うしかない。しかし、どうだろうか。そういう結論を出す前に、住民らが告発にしている問題に向き合ってみる必要があるのではないか。
 特定の人びとへの犠牲の集中、そしてそれを結局、容認してしまう大多数―この構造が原子力政策を成り立たせてきた。そういう問題から、私たちは誰も自由ではなかった。
 こうしてみると、「東京へ持って行ってもらいたい」という住民の訴えは、厳しい言葉遣いだが、そこには、原子力政策を成り立たせてきた根幹にかかわる告発があり、国民全体に対する問題提起があるのではないか。私は、そう受けとめた。

 以下、勿来会場と原町会場の全発言(17名)の要旨を掲載する。〔見出しは筆者〕
 なお、国の説明や見解については、各種の報道や国・県・町などのサイトなどで見ることができるので、ここでは割愛した。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 


chk002.jpg

                             
――5月31日 午前10時~12時 いわき市・勿来市民会館・大ホール――
                                 

                                              

 できるなら東京に
 持って行ってほしい
   
双葉町・男性

 放射線の影響で、現在でも米を作れない、売れない、そういう状態が続いてますよね。そこにこういう施設ができれば、風評被害が高まって、農業ができなくなると思うんです。そういうことをどう考えるのか。
 私は、こういうもの(中間貯蔵施設)ができるのは反対です。できるならば東京に持って行ってもらいたい(会場拍手)。
 それから、土地を売って金が入っても、それに税金がかけられる。飴玉なめさせられて、後で形に取られるのと同じ。今日の説明では税について一切触れていないんです。東電からの賠償でも、私らは、いつか双葉に帰るときの「復興費」にと、貯めているわけです。それを世代が変わったときに贈与税で取られるようでは、双葉の復興なんかできないですよ。
 もっとわれわれの気持ちを考えて進めていただきたいです。



 形あるものをなくすとは
   とんでもないこと
   大熊町・男性

 ◇あらかじめ結論が決まっている
 
 まず、説明会の開催の方法に問題があると思います。
みなさん(壇上の政府官僚)は、16回もやると思っているでしょうけど、私たちから見れば、16回しかやらないのかと。だって、「一山なんぼ」で説明会をやってるようなもんですよね。やることが逆なんですよ。
 形あるものが、なくなるわけですよ。(中間貯蔵施設の)候補地になっている方にとっては。形あるものをなくすということは、とんでもないことをしてるんですよ。それなのに、一回2時間で16回、合計で高々32時間ですか。
 大熊町と双葉町の町民のところを一軒一軒回って、いま出ているような声をまずは聞くということが、なぜできないんですか?その不思議さ。
 それがなぜできないのかというと、もう結論が決まっていて、それに合わせてやっているからでしょう。やり方が間違っていますよ。
 形あるものをなくして、それを形のないもので賠償するという話でしょう。それに無理がある。

 ◇町が分断
  私のところは、原発から5キロぐらい。候補地にはならない。候補地になる所、ならない所、それから戻れるかなという所。さらに線量が高くても候補地じゃない所。それらをまとめてやろうなんていうのが、私から言えば不届き千万。答えなんて出ないですよ。
 候補地も、そうでないところも、どちらも大熊町。みんな町民ですよ。で、大熊町全体で戻ろうとしたとき、(中間貯蔵施設のところは戻れないわけで)それをどうやって説明して理解してもらうんですか?できないことをやっているなと思います。
 ◇責任から逃げるな
 管理運営の方法を、何で最後まで国が責任を持ってやらないのですか。まだ始ってもいないのに、わけもわかんない組織(「日本環境安全事業株式会社」)に責任を任せますというのは、よくある原子力政策の話と同じじゃないですか。
 雛壇にいる人たち(政府官僚)は、全員30年後まで責任を持たないとダメなんですよ。だって、私たちは、もしくはその子孫は、30年後も、ここにずっといるわけですよ。



chk003.jpg 



 なぜ大臣が来ない   大熊町・男性

 第一回の説明会だというのに、なぜ責任者たる(石原伸晃)大臣がいないのか。住民が説明を受ける場がはじめて設定されたというのに。首長や知事さんは直接説明を受けているけど、当事者であるわれわれ住民の説明会になぜ来れないのか?
 それから、一方的な情報が流されることに非常に不安を感じます。情報が操作されて、われわれに届いています。原子力の情報がわれわれのところに届くときも、これまでそういうことがありました。住民の方からも監視できるように、第三者的な機関をつくっていただきたい。不安です。




電力消費地の住民と
 災難を分かち合うべき  
大熊町・男性

 パンフレットに「30年以内に福島県外で最終処分」とあります。この文言では実現はほど遠いと思います。
 福島県は、47都道府県のひとつの県。他県の反対を受ければ、微塵もなく飛ばされてしまいます。他県の人たちは、みな反対します。だから、「福島県外で最終処分」というのは、間違った書き方だと思います。
 ではどうすればいいのか。
 この災難を双葉郡の人間だけで背負うという考えが、間違っていると思います。
東京電力の電力を利用した地域、企業、住民たちと、この災難を分かち合うという考え方で行かなければ、最終処分場は実現しません。
 ですから、福島県外で最終処分するのではなく、東京電力の電気を利用した地域で最終処分をするという考え方です。これなら、日本国民の7、8割が賛成してくれるはずです。「福島県以外」では、それに賛成する人は福島県や双葉郡の人たちだけです。
 ◇市場価格では納得しない
 土地の買い上げの方法について、市場価格と説明されていますが、市場価格では実現不可能だと思います。例えば八ッ場ダムの補償の10倍でも出ない限り、土地を手放さないと思います。今の市場価格では八ッ場ダムの10分の1以下ですから、地権者は納得いきません。



 町全体を買い上げて   大熊町・男性

 今は福島県の汚染土だけという話だけど、全国の廃棄物を集めたら、この倍以上になるのではないかと思っているんです。
 私どもは、国道6号線から西半分(6号線の東側が中間貯蔵施設の候補地)の方に住んでいます。道路一本で隔てて補償額が全然違うということになってしまいます。そうではなくて、大熊町と双葉町については、基本的に全部買い上げた方がいいのではと思います。私どもとしては西半分も買い上げてもらいたい。

 ◇住める状態ではない
 どの程度、放射線量が下がるか、帰宅できるのか、ということなんです。
 私の家の裏山は20~30マイクロシーベルト。これを2、3回除染しても、とても住めるような状況にはならないわけです。家の庭も7~8マイクロシーベルト。これが半分になるのがいつのことか。
 低線量被ばくということがあります。先だって井戸川前町長が鼻血の問題を発言して、双葉町はすぐさま反発していましたが、私は、低線量被ばくというのは実際にあると思うんですよ。鼻血が止まんなかったという子どもが私の回りにもいます。低線量被ばくについてどう対処するのかということを聞きたい。
 なおかつ大熊町全体のプログラムをどういう風にするのか。大熊町の東半分が中間貯蔵施設で帰られないとすると、その人たちは一体どこに住むのか。さらに、西半分の人たちはどうなるのか。そういう全体像を示してほしい。




 ふるさとが
 なくなっちゃうんですよ。
      分かりますか?
    大熊町・男性

 はじめての説明会ということですが、中間貯蔵施設はもうできる、つくりたいんでしょ?つくることは決定していて、青写真とか諸々のことはできあがっている。ということはつくるんでしょ?
 みなさん(壇上の政府官僚)ね、生まれ育ったふるさとが、なくなっちゃうんですよ。前に座っているみなさん、真剣に考えて下さいね。
 予定地とされているところは、NHKで朝やっているけど、里山、きれいな川が流れて、鳥がさえずり、野山に花が咲き乱れている。そういった四季折々のね、すごくこう穏やかな地域なんですよ。国の進めてきた原子力の災害で、今はこういった状態になってしまってますけど。
 いま国が前に進めて下さっていることには信頼を寄せているところなんですが、ふるさとがなくなってしまうということは、私たちがいま住んでいるというだけではないんですよ。ふるさとを当てにしがら、地方に行って働いている方、いるでしょ。そういった方が心のよりどころにして、盆正月に帰ってきて、みんなと和やかに過ごす。そういった場所がなくなっちゃうんですよ。そういったことをみなさん、真剣に考えていらっしゃいますか?
 ◇お金で解決するしかない
 説明会も大事ですけど、後は膝を交えた説明をしていただいて、じゃあ何をしてほしいんだと。結局はね、お金で解決するしかないと思うんです。正直な話。
 そうしたら、国の施設を造るわけでしょ。原発災害で土地の価値が下がりましたとかという話もあるかもしれないけど、その土地は、あくまでも個人個人の所有物です。そんなありきたりの評価額で済むような話ではございません。プラスアルファとかを出さないと、前に進まない問題だと私は思います。


 
 私たちにとっては
     本当に迷惑
    双葉町・女性

 はっきり申し上げまして、私たちにとっては迷惑なんですよ(会場拍手)。頭を下げられてもね。
 私たちが、どうして避難生活をしているのか、みなさん(壇上の政府官僚)、ご存知ですか?その上に、ふるさとがなくなるなんて。
 この間も次から次へと問題(収束作業めぐるトラブル)が起こって、やっと終わりかなあと思っていたら、中間貯蔵施設の問題が出て来ましたよ。
 それから、廃炉の問題なんか、私みたいなもんには、ぜんぜん分からないことばかりだけど、使用済燃料だとか、核のゴミだとか。これ、いつになったら解決して下さるんですか?
 交付金という話も出ていましたけど、交付金で、全国にバラバラになってしまった町民をまとめることできますか?ひとつの町としてやっていけなくなってしまったと思います。
 東京電力が来たときも、交付金が出ましたよ。でも、それで、最後はこの状態ですよ。
 ですから、私たちにとって本当に迷惑なんですよ。

 ◇戻れないなら戻れないと言え
  私たちの声を聞いていただければ嬉しいですけど、それも無駄だと思って来ました。
  半減期で(セシウム137が)半分になるにも30年だから、住めるようになるまで100年はかかりますよ。私たちはもう生きてないですよ。東京電力さんは、私たちが戻れる前提で賠償されていますけれど、私たちは、生きていないですよ。だから私は、骨になっても、もうあそこに帰ることはないと申しました。
 東電さんは、戻れるとか戻れないとかと中途半端な言葉で言わないで、戻れないならもどれないと、はっきりしていただかないといけないと思います。


chk004.jpg 



 みんながいらない物は
    私たちもいらない
    双葉町・男性

 私たちの部落は、東電(原発)から3キロという間近にあります。
 何十年、東京電力や保安院と、いろいろ話をさせていただきました。「津波対策をして下さい」と、それから「避難路をお願いします」と。何度もお話しをしてきました。
 でも、何もやってくれませんでした。そうして、この3月11日の地震津波にあったわけです。私は、3月11日の地震津波のとき、原町の病院に入院しておりまして、病院の6階から津波を見ていて、「これは東電(原発)がだめだ」って思いました。何十年って話し合ってきましたが、解決がつかなくて、こういった事故が起きているわけです。
 今日も立派な文言が一杯書いてありますが、同じことを聞かされているんです。

 ◇追い出された挙句、中間貯蔵施設かい
  先ほど来、みなさん(発言した住民)からお話があり、「いる」「いらない」と、いろいろな意見がありました。
 けれども、私たちは、帰りたくても帰れないんですよ。私らは避難者じゃなくて、追い出されたんですよ(拍手)。そういう状態で3年余りも放っておかれて、今度は中間貯蔵施設の話ですか?
 中間貯蔵施設ができたら、双葉も大熊も、町が分断されるんですよ。あなたたち(壇上の政府官僚)、自分がいま住んでいる町がこういうことになったらどうなるのか、考えたことがありますか?簡単に文字で書いてしゃべっているだけじゃないですか?私から見ると。
 こんなんでいいんですか?原子力を推進してきたのは、官僚さん、あなた方でしょ。「私はやってない」って言ったって、あなた方の先輩たちが進めてきたわけですよ。そういう中でこういった惨事が起きてしまった。それなのに、「私はやってない」って、みなさん、なんか、逃げることばかり考えていませんか?
 ◇どうしてもというなら知事のところへ
 みんながいらないものは、私たちもいらないんですよって言いたいですよ。
 どうしても福島県にって言うんだったら、失礼ですが、福島県知事、知事は、自分のふるさとにいっぱい道路つくったりしてましたよね。原発立地交付金をたっぷりもらって(会場拍手)。あっちにつくってみて下さいよ。そして、私たちが一日でも早く帰れるようにしていただきたいと思います。
 みなさんの考えを必死に受け止めていただいて、で、「みんながいらないものは私たちもいらない」です。

 
〔以上、勿来会場 8名〕



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



chk005.jpg 


――6月1日10時~12時 南相馬市・原町生涯学習センター・集会室――



 同じ国民として
 人権を認められてない   
双葉町・男性

 「浸出水は放射性物質を除去後、河川に放流」(政府配布資料)とあります。
 原発でも建屋に入る前の地下水をくみ上げて放出するのは許容されていますけど、その施設の中から出てくる水についは、放射性物質を完全に除去する技術がまだ開発されていないと思います。そういう中で、浸出水を河川に放出したら、われわれのふるさとは、ずっと汚染され続けることになるという不安があります。
 ◇住民投票はやならないのか
 (政府配布資料)で「受入是非の判断」と言っていますが、この受け入れの是非というのは誰が最終的に決めるんでしょうか?どういう方法で一人ひとりの意志を確認するんでしょうか?
 普通ならば、地区の代表である町議によって話が進められるというのが大半だと思いますが、この受け入れ問題は、一人ひとりの人生に関わる問題です。同じ世帯の中でも、父親と子ども、孫の意見が全く食い違う問題です。そういったものをどういうような形で、汲み上げるのか?町長ひとりの決断なのか、町議会の決断なのか、あるいは住民投票のように一人ひとりの意志を表明する場を設けるのでしょうか?
 ◇こんな短期間で
 一般に全国でゴミ処理施設をつくるとき、来年1月から建設を始めたいなんて、たった6カ月で着工できるというようなことがあるんでしょうか?
 全国の他の地域では、住民たちに対して、こんな短い期間でやるってことを想定すらしないのに、双葉では説明会からたった6カ月で着工という計画になっています。これは、われわれを他の一般国民とは違って、軽視しているんではないのか、基本的人権を認められてないんじゃないのか、そういう風にとらえられてもおかしくないという話なんですよ。
説明会後の取材で:結局、50年前、原発を持ってきたときと同じやり方。あのときは東京電力だったけど、今度は国が前に出て同じことをやっている。だから今、反対しないといけないと思うんです)


chk006.jpg 



 あまりの仕打ち
  ではないですか
   双葉町・男性
 
 まず、(石原伸晃)大臣の顔が見えないんですが、どうしたんですか?どういう理由でこの大事な席にこられないんですか?こういう大事な会合に大臣本人が来て、われわれ双葉町民の声を直に聞いていただきたいですよ。こういうことをやっているから、復興も遅れているんじゃないですか?
 震災と原発事故で、避難場所を9カ所も10か所も点々とし、家族はバラバラ、隣近所の人もどこにいるかわからない。こういう状況にあるんですよ、私らね。
 それなのに、私らの精神状態を全く考えず、ここに中間貯蔵施設をつくるという。これはあまりの仕打ちではないですか。双葉町民は、ああ、こうやって原発のためにチリヂリバラバラになったんだって、暖かい手を差し伸べるという姿勢がぜんぜんないじゃないですか。
 ◇ご先祖の労苦
 私は六代目です。一代目のご先祖様がこの地にわらじを脱いで早250年。ご先祖様が、来たときは、田圃も畑も宅地も何もない荒地ですよ。そこに鍬を入れて、昼も夜も寝ないで働いて、ものすごい苦労をして、築き上げた財産ですよ。それをそう簡単に手放すわけにはいかないですよ。絶対に手放すことはできません。
 双葉町は、3・11の前は、緑がきれい、水がきれい、空気がきれい、すばらしいところだったんですよ。その双葉町を忘れることはできません。必ず双葉町に戻れるよう、待っているんですよ。まあ3年や5年では戻れないでしょう。30年も50年もかかるでしょう。当然、もう息子や孫の代になっています。
 そういう風にきれいになって住める状態になったときに、中間貯蔵施設つくられていたらどうなりますか?絶対に中間貯蔵施設は反対です。いいですか、反対しますよ、どこまでも。

 ◇今すぐ最終処分場を探せ
 「30年以内に県外の最終処分場に持っていく」と言っているんですが、30年後は、私らの息子や孫の代ですね。そんなことやれないですよ。われわれの世代ができないのに、息子や孫の代にできるということはないでしょう。
 つまり、双葉町に中間貯蔵施設ができたら、これが最終処分場になってしまうんですよ。みんなこれを心配しているんです。
 「30年以内に県外へ」って言うんだったら、30年後じゃなくて今すぐ最終処分場をつくりなさいよ。
 だいたい中間貯蔵施設と最終処分場の両方をつくるなんて、経費が膨大です。私がお金にちなんだ話をする必要もありませんけど。最初から、最終処分場をひとつつくればいいんですよ。そのようにお願いいたします。



 なぜ大熊・双葉
    に持ってくる
    大熊町・女性

 中間貯蔵施設に運ばれてくるものは、泥につかまってどうのこうのっていうお話しをされましたよね(「汚染土のセシウムは土壌と結合しているので水に溶け出しにくい」という環境省の説明)、それならば、双葉・大熊町に持ってくる必要がないんじゃないですか?
 福島県の各市町村の中で処分できるのではないですか?なんで大熊町と双葉町に持ってくる必要があるのですか?

 
chk007.jpg 



 ムシロ旗を掲げてでも    大熊町・男性

 私の住んでいる生活圏は、中間貯蔵施設予定のへそです。どうにもならないところです。
 予定地の地図を見て、ガックリ来ました。
 私で四代目です。一代目は北海道で警察官を拝命、殺人犯を逮捕した際に殉職しました。
 その家族が北海道から大熊町の地に来て、殉職して命に代えたお金で、土地を得て四代にわたって農業生産に従事してきました。先祖が命に代えて得た土地を、簡単に手放せません。
 金が欲しいわけではありません。金は要らないから、元のふるさと、それを返してほしいです。中間貯蔵施設、はっきりいって迷惑です。

 ◇次の世代には
 そこで生まれ育って、遊んで、盆踊りもやって、楽しんで・・・。帰りたいですよ、ほんとに。悔しいです。
 30年後、どうなっているか、分かりますよね。たぶん私が一番先にカルシウムになっていると思います。でも、次の世代には、やはりこの汚名は残したくない。基本的には、私は、この中間貯蔵施設に反対します。
 先祖が命に代えて残した財産ですよ。国がやるというんだったら、私は、命に代えても、ムシロ旗を上げても、たたかうつもりでいます。
 ただ、今後いろんな条件が出てくると思います。その内容によっては、多少理解する考えも持ちます。そういうことを考えながら、ケンカしていただきたいと思います。
今は、反対・賛成よりも、やっぱりこのふるさとを残したいという考えです。
 


 騙されてる
  気がしてならない
     双葉町・男性

  最終処分場が決まんないうちに、中間貯蔵施設をつくることは法律で決まっていると。
  いま先輩方が、土地に対する思いを語りましたが、今度、最終処分場でもそういうことが起きるはずですよね。双葉町、福島で、これだけいろんな問題が山積みになって、なかなか進まない。これが県外に本当にできるのかということですよ。
 仕様がないから受け入れるしかないって思ってますけど、最終処分場が決まらないのに、どうして、30年以内に県外に処分するって、ちっとも理解できないですよ。その辺の説明をお願いしたい。騙されるような気がしてなりません。
 (「最終処分について技術や場所について答えられる状況にない」という環境省の回答に対して)それってちょっと矛盾してるんじゃないの。それが決まんない限り、ある程度、ほぼこういう予測なんだけど、というのが何も出ないということは、「できない」ということになるじゃないかと思うんだけど。

 ◇国は諦めるのを待っているのか
 大熊の復興というけど、何年後に復興を考えているのか、その辺がわかんない。自分たちの時代には復興はできない。子ども、孫の時代か。その孫たちが、中間貯蔵施設があって、風評被害的なものが残っているところに帰ってくるだろうか。子ども、孫が戻ってくるということはほぼ考えられない。
 中間貯蔵施設をつくって、大熊・双葉の復興って、どんな構想が立ちますか?復興と言うが、実感がない。
 子ども、孫、みんな、何の計画も立たない。ただ他に移って仕事をしているだけ。バラバラになって、そのままダラダラと生活していくだけ。それに対して何にも言ってやれない。
 自分たちも、このままもう気力がなくなって、諦めるというような。それを(国は)なんか待っているような。(復興について、国は)やっている、やっているっていってるけど、目標も何もなくて、何の目安もなくて、どうにもなんない。結局、自分たちの(人生の計画を)何も決められない。もう矛盾だらけだ。あとは何となく、疲れて、諦めていく。そんな今の状態です。もう少しなんか考えてもらわないと、もう少し答えを出してもらわないと。 納得いかない。




 最終処分は
  必要ないのでは
    大熊町・女性

 除染で出たセシウム137の半減期が30年。こういう物質を中間貯蔵施設に集めると。素人考えですが、最終処分って必要ないんじゃないですか?そういうお話がどうして出て来ないのかを教えて下さい。


chk008.jpg 
(双葉町の中間貯蔵施設予定地付近。後ろは第一原発の排気塔)



 最終処分場と
    同時並行で
    双葉町・男性

 中間貯蔵施設の場所は、3年ぐらいで決まっちゃったんですよね。だったら、最終処分場だって、国が本気になって取りかかれば、5、6年で見つけられるんじゃないかと思うんですよ。とにかくわれわれは今一番、心配しているのは、法律で30年たったら県外に移転すると言っても、30年たったら、どうなるか分からないですよね。われわれ高齢者は、もう死んでますから。
 それから、30年は置きたいというけども、その間に、減量問題とか、科学的な問題で、数値がずっと低くなっていますよね。そうしたら、20年、15年で最終処分場に運ばれるかわかんないですよ。だから、中間貯蔵施設のお話ばかりするんじゃなくて、最終処分場を同時並行で決めてもらう。国の管理の土地がありますよね、そういうのを検討しながら、最終処分場を決定してもらいたい。そうすればわれわれ非常に安心します。



事業者のフォローを   双葉町・男性
 
 ひとつは、事業者に対するフォローがほとんどないんですね。生活再建とかはあるんですが。そういうものをあわせて考えていただきたいです。
 二つ目は、国有化で心配しているのは、土地を担保に金融機関さんの方と取引させていただいているわけで、それが国有化で抹消されてしまうと、金融機関との取引ができなくなる可能性もあるわけです。
 三つ目は、なかなかこういう場で意見をいうのも大変です。そういう場合、冊子にあるお問い合わせ窓口に電話して自分の意見なり質問なりを提起してよいものなのかということです。



「全国で応分に」
   と明記すべき
    双葉町・男性

 中間貯蔵施設について賛成か反対かと言われれば、当然、反対です。避難者が、さらに辛い思いをするようなそういう施設を絶対につくってほしくないというのが本音です。
 できれば、環境省には、双葉町の環境を元に戻すような、そういう施策を今すぐにもやってほしいと思っています。
 ◇誰も信じてない30年での持ち出し
 で、もし仮につくるとなる場合、一番やっぱり心配するのが、30年以内に本当に持ち出せるのかというところです。恐らくここにいる人のほとんどが、恐らく前に座っている方(政府官僚)も、たぶん30年以内に持ち出させるなんて恐らく思っていないんじゃないかと思います。誰だっていやですからね、自分のところで受け入れるなんて。
 で、是非お願いしたいのは法律を作る条文の中に、「もし仮に、決まらなかったら、東京都で受け入れる」とか、「全国の自治体が応分に受け入れる」とか、そういうことを入れてほしい、是非そうして下さい。あるいは選挙区ごとに必ず一か所、最終処分場を作るとか。それぐらいやらないと、絶対に30年後に持ち出すということは不可能と思います。

 ◇核廃棄物の処分場の危険も
 なおかつ私が心配するのは、30年たったら、恐らくここにいる人の、私も含め、大部分の人が、亡くなっているかもしれないし、反対もできないくらいになっているかもしれない。人が住まない土地になっていて、反対する人がいない。で日本国内に核廃棄物が一杯あります。そうすると、もしかしたら、日本国内の核廃棄物の最終処分場になる可能性だってあると思います。福島県が、核廃棄物の最終処分場になる。そんな可能性もあると私は思います。
 ですから、30年以内に必ず持ち出せるように、具体的な地名を法律に入れて下さい。東京であるとか、すべての自治体であるとか。もちろんすべての自治体といっても、福島県とか、長崎とか、広島とか、原発のない沖縄とか、そういうところは、除いて考えてもいいと思います。

 ◇全原発の廃炉を条件に
 それから、町長がきているようなので、もしこれを受け入れるときには、私なんか一番感じるのは、こんなにつらい思いをさせられて、こういう思いをもう絶対に他の日本人にはしてほしくないし、できれば、世界中の人に、こんなふるさとを失うような思いをしてほしくないと思いますので、もし仮に中間貯蔵施設を受け入れるときには、交換条件として、すべての原発の廃炉、即廃炉そういうことを国に求めるというか、条件を出す、それくらいのことはしてほしいと思っています。

〔以上、原町会場 9名〕        (了)






テーマ:「原発」は本当に必要なのか - ジャンル:政治・経済

  1. 2014/06/10(火) 17:00:00|
  2. 中間貯蔵施設
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3

【論考】  区域再編、中間貯蔵施設、賠償問題をめぐって   ~フクシマの現局面~

IMGP2214-600.jpg
(政府説明会で示された2012年3月31日時点の大熊町の線量分布図。黄色が年間20ミリシーベルト以上、黄土色が年間50ミリシーベルト以上、赤色が年間100ミリシーベルト以上)



 


大熊町民を対象に政府説明会


「原発3キロ圏内で有機農業をやっていました。顧客一人ひとりとつながってやってきました。それが、この事故で全部、駄目になりました。
 私たちを、人間として扱っているのですか?『共存共栄』と東電は言ってきたけど、それがこの仕打ちですか?
 課税評価額と同額の補償で、新しい家が得られますか?いつまで待てばいいのですか?どこに行けばいいのですか?どこを故郷にすればいいのですか?
 賠償なんかじゃない。元の生活に戻してほしいのです。
 この上、なぜ原発の再稼働なのですか?これ以上、犠牲者を出してはいけないのです」

 5月12日に郡山市内、13日にいわき市内と会津若松市内で、大熊町民を対象にした、中間貯蔵施設設置などにかんする政府主催の説明会が行われた。

 いうまでもなく、大熊町は、福島第一原発の地元中の地元であり、もっとも大きな被害を受けた地域だ。この人びとを前に、政府が何を語るか、そして、町民が何を訴えるかが注目された。
 12日の説明会には、細野環境相、福島県立医科大の神谷副学長、さらに、復興庁、原子力災害対策本部、環境省、文部科学省、資源エネルギー庁などの役人が出席、それぞれの説明を行った。説明の大要は、①避難指示区域の見直し、②除染の現状と方針、③中間貯蔵施設の設置、④賠償の考え方の4つ。
 政府側が一通り説明をした後、住民からの質問や意見が受け付けられた。この日の町民の参加は220人。15人の町民が発言した。冒頭に紹介したのは、原発3キロ圏で有機農業を営んでいた60代の男性の発言。このように、厳しい発言が相次いだ。

 原発事故で大きな被害を受けた福島県の中でも、原発立地地域である双葉郡の人びとは、避難を余儀なくされ、家も土地も故郷もすべて失うという筆舌に尽くしがたい苦しみを受けている。しかし、同時に、長きにわたる原子力村の支配があり、しかも、被災後は散り散りバラバラになり、そのために、声を挙げることも難しい状態にあった。
 しかし、事故から1年と2か月、いまようやく、その地域から、原発事故の加害者を追及する怒りの声があがり始めている。大熊町民を対象にした政府説明会が、そのことをはっきりと示した。


IMG_0444-400.jpg
(写真上:答弁に立つ細野環境相
 写真下:意見を述べる町民)
IMG_0474-400.jpg


 以下では、まず、【Ⅰ】区域再編、【Ⅱ】除染、【Ⅲ】中間貯蔵施設、【Ⅳ】賠償について、政府側が行った説明と、それにたいする町民の側の意見を整理した。
 さらに、それに踏まえ、【Ⅴ】では、フクシマをめぐる現局面と課題について検討した。



【Ⅰ】  棄民に向かう区域再編



 昨年12月、政府は、「原子炉は冷温停止状態に達し、発電所の事故そのものは収束に至った」と宣言、それにもとづいて、避難指示区域(警戒区域、計画的避難区域)の再編を進めている。すでに4月1日に田村市、川内村、4月16日に南相馬市で、警戒区域の解除が行われるなど再編が先行して行われた。
 政府は、引き続き、楢葉、富岡、大熊、双葉、浪江、葛尾、飯舘などの各町村について、避難指示区域の再編を進めたいとしている。
 この日の説明会で政府は、避難指示区域再編についての考え方を示すとともに、大熊町の汚染状況を示した線量分布図〔冒頭の図〕を出し、大熊町についての区域再編の基本方向を説明した。


町民の95%が「帰還困難区域」


【避難指示区域再編についての政府説明の要旨】

・避難指示区域を、「避難指示解除準備区域」「居住制限区域」「帰還困難区域」の3つに再編する。
・区域設定の基準は、以下のようにする。
▽ 年間の積算線量20ミリシーベルト以下を「避難指示解除準備区域」
▽ 20ミリシーベルト以上で50ミリシーベルト以下を「居住制限区域」
▽ 50ミリシーベルト以上を「帰還困難区域」
・区域再編は、行政区、大字・小字の単位で設定する。
・大熊町(人口1万1500人)の場合、「帰還困難区域」に町民の95%が該当、残りの5%が、「避難指示解除準備区域」と「居住制限区域」になる。

 このような区域再編の説明にたいして、町民は、疑問と不信をぶつけた。


4号機燃料プールの危険

 
「そもそも、再び原発事故が起こらないという保証はないのではないか?」

 たとえば、第一原発4号機の燃料プールには約1500本の燃料集合体が水中に保管されているが、これが再度の地震などで冷却できなくなれば、今回の事故をはるかに超える深刻な事態になりかねないということが十分想定される。
 政府の「収束宣言」自体が疑わしいものであり、その「収束宣言」にもとづいて避難指示区域の再編が進められ、「安全ですよ」「帰っていいですよ」というのは、全く信用できないという意見だ。
 このような町民の不信にたいして、細野環境相が再度、答弁に立ったが、具体的な根拠を示すことなく、「そういう心配はない」と繰り返すだけだった。


再び20ミリシーベルト基準


 
「20ミリシーベルト以下は、避難を『解除』といっているが、20ミリシーベルトに根拠はあるのか?そこは、赤ちゃんから老人まで、暮らせるところなのか?」

 昨年4月以来、問題となってきた点だ。
 昨年4月、除染はおろか、モニタリングも十分にされていない時期に、文科省が、学校などの利用の目安として、年間20ミリシーベルトという基準を打ち出した。これにたいして、母親をはじめ多くの県民が強く抗議し、撤回を要求した。
 ところが、政府は、避難区域再編に当たって、この20ミリシーベルト基準を適用している。
 この点について、神谷副学長は、「20ミリシーベルトは国際基準」と説明した。


IMG_0454-400.jpg
(神谷福島県立医大副学長が講演)


 これは、昨年来、さんざん論争されてきたことだ。
神谷副学長のいう「国際基準」とは、国際放射線防護委員会(ICRP)がつくった基準のことだ。ICRPは、「事故継続等の緊急時の状況における基準」として年間20~100ミリシーベルト、「事故収束後の復旧時の基準」として年間1~20ミリシーベルトとしている。昨年4月段階の山下長崎大教授(当時、現・福島県立医大副学長)の発言や今回の神谷副学長の発言は、このICRP基準を忠実に復唱しているに過ぎない。
 もっとも、低線量被ばくによる健康被害の研究や知見はたくさんあるのであり、ICRPも「健康被害はない」とは断言していない。
 大事なことは、ICRPが核政策と原子力産業の推進団体であり、ICRP基準の土台には、核政策と原子力産業を守り・推進するという立場が据えられていることだ。
つまり、ICRPの出した20ミリシーベルト基準とは、放射線被ばくから健康を守ることを第一義に考えた基準ではなく、「何がしかの健康被害はある。しかし、その健康被害よりも、核政策・原子力産業の推進という利益の方が大きい。だから、ある程度の健康被害は我慢してほしい」という考え方に基づく基準だ。

 そういう基準を町民に押しけて「戻れ」ということにたいして、町民は反発をしているのだ。
 町民の批判を受けて、政府側の役人は、「20ミリシーベルトはスタート。すぐに戻れとは言わない」とかわした。
 その含意は、ひとつに、「除染すれば下がるから」という誤魔化しであり、いまひとつは、「戻らないのは自由だが、補償はなくなりますよ」という脅しだ。


生活の困難と住民の分断


IMG_0480-400.jpg 
(意見を述べる町民)


「たった5%の住民だけが帰還しても、町として成り立つわけがない。生活もできない。住民を分断するのか」
 
 政府の説明によれば、大熊町民の95%が「帰還困難区域」に入り、5%だけが「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」に入るという。
しかし、住民の5%だけに、「戻れますよ。戻って下さい」と言われても、生活はできない。町のインフラもコミュニティーも破壊されてしまっている。そんなところに戻れるはずがない。
 これは、被ばく問題とともに、忽せにできない大きな問題だ。放射能による被ばくとともに、地域が破壊されるという被害もある。これも取り返しのつかない被害だ。
 それにもかかわらず、政府が「解除」を強行すれば、同じ被害を受けているはずの町民の間に、賠償問題もからんで、分断が持ちこまれてしまう。町民がもっとも恐れることだ。

 このような住民の意見にたいして、政府側の役人は、「大熊町全体がまとまって行動したいという町の判断を尊重する。一部だけ早急に解除や帰還を求めることはしない」と言わざるを得なかった。


IMGP1638-400.jpg
(大熊町の大野駅。この付近は年間100mSvを超える。写真は昨年10月)


帰れないのはわかっている


 区域再編についての説明を受ながら、町民はいら立ちを募らせていった。「帰れない」という残酷な事実だけを突きつけられて、「では、どうするのか」という話がまったくないからだ。

「帰れないのはわかっている。だったらどうするのか。そのグランドデザインを出してほしいのだ」

 町民は、このように詰め寄った。
 しかし、政府側役人の答えは、「早急に検討します」というだけだった。


少なくとも2万人以上が「帰還困難」
 

 大熊町が「帰還困難区域」であると政府が認定した。これは、大変に重い事柄である。
 「帰還困難区域」について、政府は、「5年以上は帰還できない」としているが、実際は、5年で済むかどうかわからない。何十年の単位で、自宅・故郷に帰れないということも覚悟しなければならない。それが、大熊町と双葉町の大部分、さらに、浪江、富岡、葛尾、飯舘、南相馬などにもかかり、対象となる住民は少なくとも約2万2千人。
 政府は、帰還できないという現実をなかなか認めようとしなったが、「帰還困難区域」の指定をせざるを得なかった。
 原発事故の被害が、こういう深刻な事態なのだということを突きつけている。


IMG_0457-400.jpg
(線量分布図を見て考え込む)



【Ⅱ】  行きづまる除染



 昨年8月、政府・原子力災害対策本部が「除染に関する緊急実施基本方針」を決定、当初の計画では、昨年内に実証実験を終え、年明けから本格除染が始まるはずだった。
 しかし、計画は大幅に遅れている。
 この日、大熊町の除染について、政府が説明を行った。

【大熊町の除染についての政府説明の要旨】

・「年間20~50ミリシーベルトの地域」について、「平成25年度内の完了」を目途にする。
・「年間50ミリシーベルト以上の地域」については、「除染技術の確立及び作業員の安全性の確保のための除染モデル実証事業を実施し、その結果等を踏まえて対応の方向性を検討する」

 住民からは、除染の効果や費用についての疑問が相次いだ。


CIMG3818-400.jpg 
(大林組が受注し飯舘村で行われた除染。昨年12月)


除染への疑問


 「大熊町役場の除染実験をやったが、除染しても線量は下がっていない。一時的に下がってもすぐ戻る。
 こういうことに1兆円もかけるのか?そんなカネがあるなら、町の構成を大きく変えるとか、補償に回すとかするべきではないか。わざわざゼネコンにやるのか」

 昨夏に除染計画が打ち出されたばかりの段階なら、除染の実態もまだ明らかになっていない中で期待や幻想もあったが、いまやそういう人はかなり少なくなっている。この日の発言でも、厳しい意見ばかりだった。
 しかも、除染の遅れについて、政府から、事情説明は何もされなかった。
 さらに、「年間20~50ミリシーベルトの地域」について、一応、除染完了の目途が示されているが、実際のところは、大熊町の町民の95%が、「年間50ミリシーベルト以上の地域」で、その地域については、今に至っても、まだ「技術の確立」といい、「方向性を検討する」というに留まっている。
 これについて、細野環境相は、「こうやったら確実に下がるといえる段階ではないのは確か」と行きづまりを認めざるを得なかった。しかし、なお、「一歩一歩やっていくしかない」と、展望の見えない除染計画を続けるというのだ。
 成果が上がらなくても、ゼネコンにとっては、莫大なお金が入ってくるわけだからおいしい話だろうが、町民にとっては、「除染したら帰れる」という期待と幻想を煽られたた挙句、大きく裏切られ、再び絶望に叩き込まれているのだ。


IMGP1657-400.jpg
(除染の実証実験が行われた大熊町役場。写真は昨年10月)



【Ⅲ】  核のゴミ捨て場にする中間貯蔵施設



 除染計画に裏切られる中で、さらに、大熊町をはじめ双葉郡に、除染で出た廃棄物を保管する中間貯蔵施設の設置する計画が打ち出されている。
 この日の政府説明会の最大の狙いも、「中間貯蔵施設の設置について、住民に説明する」ということだった。
 中間貯蔵施設とは、除染によって発生する大量の汚染廃棄物を保管する施設。政府は、それを、双葉・大熊・富岡・楢葉の各町につくるという案を打ち出している。とりわけ、大熊町には、他の町よりも規模の大きい施設を造りたいと打診している。

【中間貯蔵施設設置についての政府説明の要旨】

・除染などによって大量の放射性廃棄物が発生する。その量が膨大のため、現時点で最終処分の方法を示すことは無理だ。
・そこで、最終処分までの間、管理・保管する施設が必要だ。そこで、貯蔵だけでなく、減容化や分離技術の研究開発を行う。
・30年以内に、福島県以外で最終処分を完了する。


IMGP2218-400.jpg 
(説明会で示された中間貯蔵施設のイメージ図。谷を大規模に埋めている)


 町民は、この説明に強く反発した。


格好だけの話は信じられない

 

「中間貯蔵施設は、誰が決めたのか?住民の意見なのか?」
「福島が、日本全体の核廃棄物の最終処分場になるのではないか?」
「30年で最終処分場に移すというなら、まず最終処分場を決めて、それから、中間貯蔵施設の話をすべきではないのか?こういう格好だけの話は信じられない」
「中間貯蔵施設は、東京に持って行ってもらいたい」

 政府の説明では、「30年以内に県外で最終処分する」としているが、誰も信じていない。最終処分の技術も場所もはっきりさせないまま、「中間」という言葉でごまかして、処分場を永久に押し付けようとしている。
 政府の言い草は、まるで、「原発は駄目になったけど、代わりに原発事故のゴミ処理の仕事はどうですか」ということだ。

 住民の強い反発を受けて、各自治体も、温度差はあるが、簡単には受け入れない態度を取っている。そして、受け入れ反対で確固とした姿勢をとる井戸川双葉町長が、双葉地方町村会(双葉郡8町村)を取りまとめる形で、政府と対峙している。
政府は、4月に入って、各自治体の分断を狙って、町議会ごとに個別の説明と要請を行った。それに続いて、住民への説明に踏み込んできた。この日の大熊町民を対象にした説明会は、住民にたいする政府による最初の説明の場として、政府にとっても住民にとっても焦点となっていた。
 説明会終了後の会見で、細野環境相は、「(中間貯蔵施設設置の説明のつもりだったが)、住民の生活を考えれば、まずは賠償が優先だ」と、中間貯蔵施設の押し付けが容易でないことを認めざるをえなかった。


IMG_0468-400.jpg 
(意見を述べる町民)



【Ⅳ】  遅々として進まない賠償



 避難生活がすでに1年以上経っている。8万人以上の住民が、強制的な避難の対象となり、住み慣れた土地・除去を追われ、いまも、仮設住宅や借り上げ住宅で生活している。こういう状態が何年続くかの先行きも定かでない中、経済的にも精神的にも非常に不安定な生活が続いている。
 しかも、迅速に行われるべき被害者への賠償は、遅々として進んでいない。
 文科省の原子力損害賠償紛争審議会が、昨年8月、賠償に関する「中間指針」を公表、その翌月から東電が、賠償請求の受付を開始した。しかし、5月11日現在の実績は、請求件数が、個人・法人を合わせて、74万3000件、合意件数が12万5000件で、約17%。〔ただし、自主避難にかんする請求の合意件数の公表がないので、合意件数の中に入っていない〕
 とくに、避難区域の土地や建物などの賠償について、東電は、いまだ、支払いの工程表や損害の算定方式さえも示していない。そのために、強制的に避難させられた住民は、いまだ、土地や建物の賠償の目途も見えず、生活の再建や事業の再開の見通しも立たない状況におかれている。
 このような事態にたいして、福島県が、賠償を進めるように要望する書面を出したが、東電は、それにたいしても、「検討する」と答えただけで、事実上、無視している。

 このような不誠実な態度を東電が取り続けるのも、それを政府が容認しているからに他ならない。


切り捨てを匂わせる


 政府の説明は、以下のようであった。

【賠償についての政府説明の要旨】

・精神的損害=慰謝料について、月額一人10万円。
・賠償の対象となる期間は、今後の状況を踏まえて判断する。
・「帰宅困難区域」の家・土地については、全損=価値減少率100%とする。
・「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」の家・土地については、解除になるまでの期間を考慮して価値減少率を推認する。
・新しい住居を取得する場合、再取得価格を考慮する。


10万円の価値しかないのか


IMGP1244-400.jpg
(いわき市内にある広野町民の仮設住宅)


「3月12日に着の身着のままで避難。それから1年2か月。その慰謝料が月10万円か?
 家も畑も仕事も故郷もすべてなくなった。われわれの生活は、そのくらいの価値しかなかったということなのか?」
「何にも悪いことをしていないのに、突然、『逃げろ、逃げろ』って、警察にでも追われているようにして逃げた。
 この地図(冒頭の線量分布図)を見ると、真っ赤だ。しかも、除染はうまくいっても50~60%の効果。もう川で釣りもできないし、山で山菜取りもできない。説明では、50ミリシーベルト以上は、除染の方法が見つかっていないと。1年以上たっているのに。
 慰謝料月10万というのは、バカにしている。交通事故の慰謝料の一番下のヤツだ。交通事故のケガは治るけど、われわれは、1年経っても避難。このストレスはとてつもない。国の最低基準にたいして、納得のいく基準にしてほしい」

 文字通り着の身着のままで避難を余儀なくされ、すべてを失うという被害を受けているのに、その慰謝料が月額一人10万円。この扱いに納得いないという声が相次いだ。
 月額10万円という算定は、交通事故の自賠責保険の賠償の最低額に準じている。自賠責保険に、ケガの場合、慰謝料と治療費が1日あたり4200円という最低額の規定がある。この規定から、さらに、「交通事故は負傷しているが、避難は負傷していない。だから、自賠責の少し下にした」(政府側の役人の説明)というのだ。
 交通事故と原発事故とを比較する自体どうかと思うが、家も土地も地域の繋がりも故郷も、すべて失ったことにたいして、「負傷していないでしょ」という政府の言い草に、町民たちは、涙を流して悔しがった。
 これが、原発事故の被災者にたいする国の見方なのだ。

 この日、政府は、多くの批判にもかかわらず、現行の慰謝料・月額一人10万円を修正しないとした。それどころか、「今後の状況を踏まえて」と、除染の進捗や避難指示区域の再編をもって、慰謝料の打ち切りの可能性も示唆した。


人間扱いされていない


「課税評価額と同額の補償で、新しい家が得られますか?いつまで待てばいいのですか?どこに行けばいいのですか?どこを故郷にすればいいのですか?」

 この地域で農業を営んでいた人びとは、代々受け継いできた土地や建物に住んでいたという人も少なくない。ところが、福島市など都市部に避難した人は、失った土地や建物の課税評価額と同額の補償では、同じものは住めなくなってしまう。
 しかし、政府の説明は、そういうことも「考慮」するというものでしかない。
 また、「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」の家・土地については、解除になるまでの期間の価値減少率で算定するという。例えば2年間で解除になったとしても、高線量のみならず雨風の中に放置された家屋を、「はい、解除しました。2年分の価値減少率は・・・」と言われても、それがすぐに住める状態ではないし、納得できる話でもない。
 町民は、このような政府の姿勢に、「自分たちが人間として扱われていない」と感じ、憤っているのだ。
 
 説明会の終了後、福島市内の借り上げ住宅に家族で避難し、この日も、家族で説明会に参加した30代の男性に感想を聞いた。
「国は、東電のやり方を全く擁護している。誰も何も反省なんかしていない。国は、被災地のことなど考えていない。『福島の復興なくして、日本の復興なし』なんて言っていたけど、『そんなのウソだ』ということが、よくわかった。それが今日の感想です」
 男性は、このように吐き捨てるように言った。


IMG_0463-400.jpg
(2歳の孫と90歳の祖母。政府を追及する発言に拍手)



【Ⅴ】  フクシマをめぐる現局面



「収束宣言」と棄民


 政府は、昨年12月に「収束宣言」を出した。しかし、それは、「冷温停止」ではなく「冷温停止状態」という言葉のごまかしにも現れているように、危機を糊塗しようとしたものに過ぎない。
 政府は、国策として原子力政策を死守し、停止した原発の再稼働を図るために、「危険は去った」「事故は収束した」と、とにかくアピールする必要があった。そして、原発事故の深刻な被害も、できるだけ小さく見せる必要があった。
 そういう意図で、避難指示区域の再編を進め、中間貯蔵施設設置を打ち出し、賠償問題の値切りと打ち切りを目論んでいる。
 それは、事故とその被害の深刻さに向き合い、被害を受けた人びとの救済と支援に全力を挙げようという姿勢ではない。国策の大失敗と犠牲を、棄民をもって終わりにしようとしているとしか言いようがない。そして、残るのは、中間貯蔵施設という巨大な核のゴミ捨て場なのだ。

 
加害者の責任が問われぬ理不尽 


 それにしても、これほど大きな事故を起こしながら、国や東電の態度には、反省や責任の自覚が皆目感じられない。
それは、賠償問題で端的に表れている。東電は、「国策を遂行していたのだから、何も悪いことはしていない」と傲然としている。
本来なら、東電は、土下座をして、身ぐるみ全部を賠償に差し出しても足りないくらいなのだ。ところが、実際は逆で、加害者である東電は慇懃無礼な態度に終始し、被害者が膨大で煩雑な賠償請求の書類に四苦八苦させられ、あげく、東電の都合で、理由も示さず冷たく撥ねつけられている。
 中間貯蔵施設でもそうだ。原発から放出された放射能によって、大きな被害が出ている。ところが、原因者である東電は、「放射能は無主物」〔※〕と主張して責任をとらず、一方、その放射能で汚染された土壌や廃棄物を回収し捨てる中間貯蔵施設が、もっとも大きな被害を受けた双葉郡の人たちに、押し付けられようとしている。
加害者・犯罪者は全く責任を拒否し、被害者だけが何重にも犠牲を強いられる。この構図は、あまりにも理不尽だ。
 この理不尽な構図を、依然として許してしまっているところに、フクシマをめぐる現局面の課題があると痛感する。
 賠償問題や中間貯蔵施設の問題に限らない。被ばくの問題から生活の問題、地域の再生の問題など、フクシマをめぐる問題は、多岐にわたるが、加害者・犯罪者と被害者の逆転した構図をひっくり返すことが、あらゆる課題の前進にとって要になるだろう。

〔※ ゴルフ場経営者が、東電にたいして除染を求めた仮処分申し立ての裁判での東電側の主張〕


CIMG3594-400.jpg
(昨年12月3日に開催された双葉地方総決起集会)


双葉郡の人びとが声を挙げ始めた


 福島の中でも、原発立地地域である双葉郡の人びとは、長らく原子力村の支配のもとにあった。家族や親せきの中で、誰かが原発関連産業で働いているという地域だ。
 そういう地域の人びとが、ある日突然、着の身着のままの避難を余儀なくされた。家も土地も地域の繋がりも故郷もすべて失った。そして、各地にバラバラになり、生きるのがやっとの日々を過ごしてきた。警戒区域・計画的避難区域とされた住民の数は、飯舘村や川俣町・山木屋地区など含めると約8万人。少なくとも、8万人の人が、そういう境遇にあってきた。
 事故以降、双葉郡の人びとは、もっとも大きな被害を受け、もっとも理不尽な扱いを受けながら、もっとも声の挙げづらい状態にあったともいえる。
 事故から1年と2か月、そういう人びとが、この間、ようやく、怒りを言葉にし、繋がりを回復し、行動を始めている。その一端が、政府説明会で厳しい意見を突きつける大熊町の人びとであり、井戸川町長を押し立てて政府と対峙する双葉町の人びとだ。
この人びとの存在は、国と東電の犯罪を告発・糾弾してやまない。ここに、加害者・犯罪者が罪に問われないでいる構図をひっくり返す力がある。
 そしていま、福島では、先進的な人びとの呼びかけで、「福島原発告訴団」が結成され、国・東電・原子力村の処罰を要求する運動も始まっている。ここに、もっとも深刻な被害を受けた双葉郡の人びとの動きが合流したとき、この運動は、大きな力を発揮するだろう。


再稼働阻止のために


 全国の原発の停止・再稼働阻止から廃炉へ向かう行動が、大飯原発の再稼働問題を焦点として、大きなうねりになろうとしている。
 しかし、ここでもまた、同じ課題があるだろう。国・東電・原子力村は、自分たちが、罪を犯したという自覚を持っていない。だから、「再稼働で、同じ過ちを繰り返すのか」という警告にも、聞く耳を持たない。
 やはり、この構図を叩き折る必要がある。そして、そのテコは、やはり、国・東電・原子力村の犯罪を告発してやまない双葉郡の人びとの存在と行動に結びつくことだろう。

 最後に、福島で生きる知人の言葉を紹介して、この論考を締めたい。
「国や東電の責任を追及してやりたい。デモでもやってやりたい。
 しかし、心のうちで憤りが渦巻いているが、それを表現したり、行動したりすることがなかなかできない。もどかしい思いだ。
 だけど、外の人から、『福島の運動はどうなっているのだ』って言われたりすると、『ちょっと違うよな』って思う。
 福島では何も解決していないし、はるかに複雑で、重いテーマに悪戦苦闘している。それをわかってほしい」。 (了)






テーマ:東北関東大震災 - ジャンル:ブログ

  1. 2012/05/19(土) 21:30:49|
  2. 中間貯蔵施設
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。