福島 フクシマ FUKUSHIMA

津波被害と原発震災に立ち向かう人々とともに

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食品の放射能測定   生産者と消費者

 測定と除染にとり組んでいる福島市内のモモの生産者と、市民による食品の放射能測定にとり組んでいる「市民放射能測定所」を、先日、チェルノブイリ救援中部の皆さんとともに訪問した。



生産者の苦悩


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(モモ畑で。写真中央がモモの生産者のSさん。右の3人はチェルノブイリ救援中部のみなさん)


 福島市内で、モモとリンゴを生産しているSさん。
 汚染された表土を削り、畑の中に穴を掘って埋め、さらにその上から土を被せるというやり方で、除染を行ったという。
 その効果があって、空間線量は、除染したところが、0・2~0・3マイクロシーベルト/時。除染していないところは、1マイクロシーベルト/時強。4分の1から5分の1に下がった。
 そして、モモの放射能測定では、32ベクレル/キログラム。これは、日本よりもはるかに厳しいウクライナの基準に照らして、基準以下の数値。

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(この小山は汚染されていない土。この下の、深く掘られた所に汚染した土がある)

 
 ただ、今年のモモの出荷時の価格は、例年の2割にまで下がってしまったという。例年なら、消費者からの直接の注文が多数来ていたが、今年は、それが減ったため、その分が農協に集中し、値を大きく下げてしまった。
 苦悩し、試行錯誤しながら、生産を続ける姿に、心が痛んだ。



自分たちで測る


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(市民放射能測定所の受付)


 福島駅にほど近い繁華街、新築のビル1階の店舗用スペースが並ぶ一角に、市民放射能測定所はある。6月から同市内の別の場所で測定を開始、現在は場所を移動したところで、10月1日から再オープンするという。その準備中のところをお邪魔した。


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(食品測定器。円筒部分の中心に検体を入れる所があり、その周りは分厚い鉛で囲われている)


 台所スペースのようなところに、バラルーシ製の食品測定器(ATOMTEX社AT320A)が3台ならんでいた。
 さらに奥には、ホールボディーカウンター(AT1316)もある。
 この食品測定器では、ヨウ素131、セシウム134、セシウム137、カリウム40の4核種のガンマ線の測定ができるという。
 ちょうど測定中で、パソコンの画面に分析データがグラフで表示されていた。


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 説明によれば、測定の概要は、概ね以下のようになる。
 ・市民が、測りたい野菜・果物や肉などを持ち込む。
 ・測りたいものは、1検体で、最低1キログラムが必要。
 ・さらに、写真のように、あらかじめ、サイコロ状に細かく切って持ち込む。
 ・測定には、前後の手続きに10分程度、測定そのものに30分程度かかる。
 ・費用は、測定所を維持・運営するために、1検体で3千円。
 ・測定の結果やその試料の情報は、ウェブサイトで公開。


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(細かく刻まれたカボチャの検体。円筒形のタッパーのような容器にちょうど1キログラム)


 国・行政が行う食品の放射能測定が、基準もやり方も信用をおけない中で、市民の力で食品測定を行うという試みは、重要なとり組みだと感じだ。

 〔詳しくは市民放射能測定所 ウェブサイトへ http://www.crms-jpn.com/ 〕



汚染を隠したい政府


 放射能は、目に見えないし、五感で感じられない。それをいいことに、政府は、当初、広範囲で斑状に広がる放射能汚染の現実を、隠してしまおうとしていた。
 しかし、多くの人が、線量計を自力で調達し、各所で空間線量の測定を始めた。そうして、汚染の実態がどんどん明らかにされていた。
 そのことによって、政府は、避難や除染の必要を、しぶしぶであれ認めざるをえなくなった。

 だが、食品の放射能汚染については、依然、厳しい状況にある。
 国が定めた「暫定基準値」は、500ベクレル。この「暫定基準値以下」だから安全だとは全く言えない。チェルノブイリ事故の被害の教訓から、ウクライナが定めた基準値と比較すれば、一目瞭然だ。〔下表〕



◇セシウム137の安全基準の比較 (単位はベクレル/キログラム)
  
 品目    ウクライナ・97年改定基準     日本暫定基準

 飲料水           2              200
 パン           20              500
 ジャガイモ        60              500
 野菜           40              500
 果物           70              500
 肉類          200              500
 魚           150              500
 ミルク・乳製品    100              200
 卵1コ           6              500
 粉ミルク        500              200
 野生イチゴ・キノコ  500              500
 幼児用食品       40               なし



 ウクライナの基準が、品目でばらつきがあるのは、ウクライナの食生活を踏まえているからだ。《食生活の中で、パンのように毎日食べる物と、キノコや野イチゴのように収穫期にのみ食べる物とがあり、それらを総合した上でのセシウム137の摂取量を計算し、それでも被ばく限度が年間1ミリシーベルトを超えない》、という考え方に基づいている。この場合、セシウム137で、1日の摂取量の基準は、約120ベクレルになる。
 これにたいして、日本の暫定基準には、このような考え方は全くない。《とにかく「基準以下だから出荷できる」とするため》の基準でしかない。それは、消費者のためでないことはもちろん、生産者の本意でもない。
 ところが、食品の測定や基準については、空間線量のときのように簡単にはいかないという事情がある。食品の放射能測定器が、空間線量計に比べて、格段に高価で、手に入りにくく、かつ難しい作業だ。そのために、食品については、政府の暫定基準と、それに基づく各都道府県の行う測定に、委ねられてしまっている。
 しかも都道府県の行う食品測定の実態は杜撰だ。例えば、魚では、頭や内臓は食べないからと言って取ってしまったり、果物でも、へたを取ると称して埃のたまるところを抉ったりと、事実上、数値を低くする操作をしてから測定が行われている。自分の県の作物から「基準値以上」「出荷停止」が出るのは避けたいという心理が働くからだ。
 このような現状に異議を唱え、市民の力で食品の測定を行うとり組みは、放射能に立ち向かう上で、重要なとり組みだ。



市民の基準を


 今回、苦悩する生産者と、そして放射能に立ち向かう測定所という2つを訪問して、次のようなことを考えた。

① ウクライナ基準の考え方に学びながら、日本の食生活に対応し、様々な食品からの放射性物質の摂取量を総合的にとらえ、そこから各食品についての基準を策定することが急務だ。これを、国や行政に要求するだけでなく、市民レベルで自主的に策定するべきだろう。
 その際、当然、外部被ばくと内部被ばくを合わせて、1ミリシーベルト/年以下でなければならない。

② 子どもが放射線にたいする感受性が格段に高いことを鑑み、妊婦、乳幼児、子どもについて、とりわけ厳しい特別基準をつくる必要がある。

③ 測定は、消費者と生産者を対立させるものであってはならない。加害者は国であり、東京電力だ。消費者も生産者も被害者だ。測定のとり組みの中に、消費者とともに生産者が加わる必要があるだろう。
 そして、市民基準に照らして基準以上の数値が出た食品の生産者には、その被害に応じて補償がなされなければならない。その補償の要求には、生産者とともに消費者も、ともに声をあげる必要がある。


 
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テーマ:東北関東大震災 - ジャンル:ブログ

  1. 2011/09/28(水) 13:24:35|
  2. 食品測定
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