福島 フクシマ FUKUSHIMA

津波被害と原発震災に立ち向かう人々とともに

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緊急時避難準備区域   解除の日の広野町

 9月30日夕方、政府は、原発事故で設定された緊急時避難準備区域を解除した。
 南相馬市、田村市、川内村の20キロ圏より外側、広野町の全域などがそれに該当する。
 この日の午後、広野町を訪ねた。

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 広野町の駅前商店街。開いている商店は3軒ぐらい。人影はほとんどない。


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 常磐線・広野駅付近。半年以上、使われていないため、線路が錆びついている。
 電車もあの日以来、そのまま。


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 駅舎には駅員さんがいた。電車が来ているのは、ここより2つ手前の久ノ浜駅まで。ただ、バスによる代行運転がおこなわれているため、駅の業務は行われていた。
 駅員さんに復旧の見通しを訊いたが、「支社(水戸支社)から話がないからわかない」とのこと。(その後の報道によれば、10月10日に運転が再開される)。


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 広野町で、もっとも早く、6月から営業を再開している肉と食品の「四倉屋」さん。
 この店は、広野町で営業を再開するとともに、広野町の住民が避難している仮設住宅(いわき市中央台高久)まで、移動販売車を走らせるなど、頑張ってきた。
 しかし、6月以降、夏を越えてから、むしろお客さんは減っているぐらいだという。
「やっぱり放射能がね。とくに子どもたちはね。だから解除といってもほとんど戻って来れない」と、嘆いていた。



政府の意図と住民の不信


 政府は、指定解除を判断した理由として、「原発の状態が安定しているから」としている。そして、「指定解除は、原発事故収束に向けた大きな一歩前進だ」(細野原発事故担当相)と強調している。
 しかし、住民の受け止めは違う。指定解除ということに喜ぶような声はあまり聞かれない。
 「『解除』と『戻る』は別。原発事故が収束したときが戻るとき」
 「子どもが戻れるような状況ではない。まずは原発事故の収束。その上で除染が筋」
 「解除の前にやることがあるのでは。除染はまだ始まったばかり」
 
 政府は、除染のキャンペーンを張り、指定解除を大写しにしている。そこには、「事故は収束に向かって前進している」「放射能の影響は問題ない」というプロパガンダの意図がありありとしている。
 しかし、実際のところは、いまだ炉心がどうなっているかもわかない状態、そして、広範囲におよぶ汚染にたいして抜本的な対策は見いだせない状態、さらに低線量被ばくや内部被ばくがとくに子どもたちにたいしてこれからどういう影響を及ぼすか、全く予断を許さない状態なのだ。
 たしかに、自治体の首長の中には、政府の思惑に乗って行こうという向きもある。住民の中にもそういう人たちはいる。
 しかし、こういう政府のやり方に、不信の目を向けている住民もたくさんいる。


 







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テーマ:東北関東大震災 - ジャンル:ブログ

  1. 2011/10/03(月) 18:07:04|
  2. 広野町
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仮設住宅の生活が始まる

 いわき市中央台・高久(たかく)に応急仮設住宅が建設され、6月末から7月にかけて入居が進んでいる。
 中央台は、丘陵を宅地に造成してつくられた新興住宅地で、「いわきニュータウン」と呼ばれる。その一角に、まだ分譲されていない広い土地があり、それが仮設の用地になっている。

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 中央台の仮設には、楢葉町と広野町から避難している人びとが入っている。
 楢葉町が567戸、広野町が201戸。
 上掲の写真のうち、上が楢葉町、中・下が広野町の仮設住宅。
 楢葉町は20キロ圏内の警戒区域、広野町は緊急時避難準備区域に指定されており、津波の被害もあるが、ほとんどが原発事故による避難だ。


着の身着のまま

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 広野町から避難している大和田さん(60)にお話をきいた。大和田さんは、7月20日に、二次避難先の湯本町の旅館から仮設住宅に移ってきた。

 大和田さんは、原発事故が起こったとき、息子さんが消防団にいるお陰で情報が早く、3月12日には「すぐ逃げろ」ということで、家の鍵もかけないで、あるだけのお金と、着る物と毛布をもって、車で飛び出した。
 そして、広野町から西に30キロの小野町の体育館で10日ほど過ごした。
 1日に2食、それも前の日のおにぎり。「つらかった」という。
 その後、湯本町の旅館に移った。
 6畳の客室に息子夫婦と小3の孫の4人。荷物もあるから、ふとんが敷けないくらい狭かった。食事は3食用意してくれてありがたかったが、どこに行くにもいちいちフロントを通らないといけない。湯本の小学校に臨時に通っていた孫の送り迎えにも。
 「つらかった。仮設に来て、すこしほっどしている」という。


2DKに4人

 この一帯の仮設住宅は、広野町の人たち。そして、広野町で近所だった人や親戚の人が、仮設住宅でも隣近所にいる。申し込みのときに、行政が配慮しているとのことだ。
 大和田さんの部屋を見せてもらった。

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 大和田さんの所は2DK、4・5畳の部屋が二つ、あとは台所とユニットバス。
 収納が足りないため、衣類などが袋に入ったまま。
 二次避難先の旅館がつらかったため、ここに来てひとまず「ほっとしている」と言っているが、4・5畳2部屋に4人が暮らすのは、やはり狭い。 

仮設住宅の環境・条件

 ところで、間取りや負担など、仮設住宅の環境・条件は以下のようになっている。
●広野町からの避難者が入居する仮設住宅の間取りと戸数。
     1DK     (5畳 1部屋)   1~2人用    33戸
     2DK   (4・5畳 2部屋)   3~4人用   135戸
     3K (6畳、4・5畳 2部屋)   5人以上     33戸
●入居期間は2年以内。
●家賃は無料だが、電気・水道・下水道・プロパンガスの費用および共益費は入居者の負担。なお、ガス代は、サウジアラビア政府の寄付で割引になるとのこと。
●6点セット=冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、電気ポット、炊飯器、テレビが、日本十字社から寄贈。エアコンは設備として据え付け。ふとん一式も。


エアコンつけない人も

 ひと通り揃っているように見えるが、大和田さんは、生活費の負担を訴える。
 大和田さんの家は10代も続く農家で、野菜は全部自前、買うことはまずなかった。
 いまは息子さんがガレキ撤去の仕事に出て、何とか日銭を稼いでいる。
 しかし、仮設住宅に入って、生活費は自己負担なので、苦しいという。
 負担を減らすために、エアコンをつけない人もいるという。ここのところ、いわきでは涼しい日が続いているが、暑さが戻ったらプレハブはエアコンがあっても暑い。
 しかも、仮設住宅は仮設なので、2年後までに出なければならない。

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(写真は、閉鎖中の広野町役場の建物。役場の機能は、湯本町に移している)
 
全部ダメに

 大和田さんにとって、自分の畑でとれた作物の直売が楽しみだった。
 「じゃがいも。肉じゃがにしたらおいしいよ。子どもも好きだった。金じゃない。作るのが楽しみ。疲れたときでも、畑に行くと清々した」。
 しかし、「それが全部ダメになった。それがつらい」。
 大和田さんは、広野町の風景を思い起こしながら、「山の方だけど、窓を開けたら海。春は山桜。こんないいところはないと、ずっと思っていた」という。
 そう言った後、「原発を除けばね」と付け加えた。


ずっと不安だった 

 大和田さんが小学校の頃に、原発がやってきた。学校の先生が、「原発は危険だ」と言っていたのをよく覚えている。ビキニの被ばくの話も聞いたという。
 「ずっと不安だった。だけど、まさか、本当にこんなことになるとはね」。
 そして、「原発の恩恵なんて私らにはないよ。年に2回ぐらい、東電の職員が2人組で、石けんとタオルをもって、あいさつにくるぐらい」。

            ・     ・     ・     ・     ・

 最後に、「今、何が必要ですか」ときくと、即座にこう答えてくれた。
 「広野町の家を除染してほしい。緊急時避難区域の指定解除の話もあるけど、子どもが帰れないようなところでは困る」と。
 放射能を取り除き、家を、畑を、ふるさとを返せ。これが一番の要求なのだ。

テーマ:東北関東大震災 - ジャンル:ブログ

  1. 2011/08/02(火) 22:00:23|
  2. 広野町
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